私の好きな作品たち~太宰治編
突然時代を遡った作品の登場です。太宰作品は中学・高校の教科書には欠かせない存在でしたね。でも中学生が太宰氏を理解するのは今になって思えば困難極まりないと思えます。
確かに『走れメロス』はストーリーも解りやすく、教材向きかもしれませんが、太宰治と言う人間像は決して語りつくせないと思うのです。私自身中学時代に何冊か読んでみたけれど、危ない作家だな、くらいにしか感じませんでした。本格的に太宰や夏目漱石、森鷗外らに向き合ったのは成人を過ぎ、病気を患った時期からでした。
太宰氏の本当の心の純朴さと真正面で向かって、初めて彼の作品の素晴らしさが解るなんて遅すぎると思う方のほうが多いでしょう。何度も心中を試みたり、投げやりに世間を
非難することも多かった彼の作品は、生きていく事がどんなに難しいかを教えてくれまし
た。青森の大家に生まれつつも、面倒をみてくれたのは乳母で親と言う存在を探し求め、
優しい女性達に助けられ、「生まれてきていいのですか」と自問自答を繰り返す日々。
そこで生まれた小説の主人公や女性達はなんて暖かな人たちなのだ
ろうとうっとりしてし
てしまいます。最初に男性の描く女性がこんなにも美しく、はかないことに驚かされました。いつまでも『待つ女』、献身的ででしゃばらない女性たちは私の理想の女性像を作りあげました。どの作品も私を裏切らない(混沌とした一時期をのぞき)ものでした。
『斜光』は唯一テレビドラマ化された事のある作品ではなかったでしょうか。
『人間失格』も何度も読み返しているうちに自己反省に心が芽生え
ていったのです。
高校の国語の先生が「私は夏目ファンですが、太宰は好きになれません。」とおっしゃっておられましたが、私は太宰死も夏目氏も全く違う作風ですがどちらも好きなんです。
私はあの時代に生まれてくるべきだったのかもしれないと思うことしばしば。何もかもぴたっと感覚が合ってしまうのは不気味にさえ思えます。太宰の作品の主人公のような男性なら付いていってしまいそうです。一度読まれた方も今読むと違った視点がみつかるかもすれませんね。
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