私が知っている作品たち~渡辺淳一編
私が言うまでも無く有名な作家である渡辺氏。医師として、小説家としてその圧倒的な存在は老いる事がありません。恋愛のエキスパートでもあるといえますね。私が物心ついた頃からその作品はドラマ化され、よく観ていたものです。
数年前は『失楽園』『愛の流刑地』が流行り言葉のように使われましたね。そして最近では『鈍感力』で話題を呼びました。
主題は、伝記(『花埋み』女優』『遠き落日』など)、医療(『白い宴』『麻酔』など)、性的描写の濃い男女関係(『化身』『失楽園』『愛の流刑地』など)の三つに大
別されます。概ね初期においては医療を場面とした社会派的な作品を多く手掛け、その後は中年の男女の性愛を描いた作品が多いのが特徴でしたが、『鈍感力』はそのどれにも属さない、あるいは集大成なのかもしれません。
元首相の小泉純一郎は同年2月20日、国会内で当時の幹事長中川秀直、官房長官塩崎恭久らと会い、「目先のことに鈍感になれ。『鈍感力』が大事だ。支持率は上がったり下がったりするもの。いちいち気にするな」と発言して、その中で『鈍感力』という言葉
を引用したため流行語となった。同書は同年夏までに100万部を売るベストセラーとなっていますが賛否両論なのが実態です。
受賞歴は
1965年(昭和40年) 第12回新潮同人雑誌賞 - 『死化粧』
1970年(昭和45年) 第63回直木賞 - 『光と影』
1979年(昭和54年) 第14回吉川英治文学賞- 『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』
1983年(昭和58年) 第48回文藝春秋読者賞 - 『静寂の声 ― 乃木希典夫人の生涯』
2001年(平成13年) アイスランド隼勲章騎士章[3]
2003年(平成15年) 紫綬褒章
とありますが、直木賞選考委員に関して批判の声も多く、ベストセラーも複数ある作家であるものの、年代において作風が全く異なるため作品そのものへの評価は大きく割れています。概ね初期の伝記や医療を主題にした作品には高い評価が向けられている一方、後期の一連のエロティシズムを主題とした作品群に対し、福田和也氏は『作家の値うち』において「亡国的作家」「紋切り型のポルノグラフィー」と斬り捨ててもいます。
でも確かに面白いのです。医療現場を舞台にした最初の作家さんでもあり、草分け的存在は認めざるを得ません。
主人公である夫人の卵巣を医者である夫が取ってしまう・・・同僚と愛し合っている事を知って・・・こんな作品もありました(ドラマだったのでタイトルは忘れてしまいましたが)。テレビや映画で放映されたものは殆ど観ていますが、その中では『麻酔』は麻酔のミスで、目覚めないまま植物状態に陥ってしまう恐ろしさと意識が戻るようにと、夫の高伸は夜の病床で密かに愛撫さえ試みるのに、邦子はいっこうに目覚めない。仕事のできる中間管理職で若い不倫相手もいた高伸でしたが、突然妻が不在となった生活に戸惑い、些細な日常の中にあった幸せに気付く・・・医療過誤と、それをめぐる夫婦のあり方、子供たちとの絆、担当の麻酔科医の心境、病院側の対応などを描くストーリーで考えさせられるものでした。
私のお勧めは『無影燈』です。主人公の私生活のふしだらさがエスカレートする反面、医療の現場における死にどう直面するかを、読者に問いかけている作品です。自分を追い込み、そのなかでしか生きられない直江。直江が死を覚悟した姿は悲しく、でも美しくも感じました。医師としての功績、子孫、何かをのこすこと、人の一生にはどんな意味があるのか考えてしまいます。
ひとひらの雪にも似て、美しくもはかない愛の妖しさと哀しさ・・・この世に2つしかない男と女が緊張のなかで愛をたしかめ、持続していくにはどうすればよいのか。はたして、いまの結婚というかたちが最良なのかどうか。愛の作家渡辺淳一氏が男と女の関係を紐解いてくれる一冊、『ひとひらの雪』・・・これから歳を重ねて恋愛と言う感情がどのように形を変えていくのか、相手を信じる事だけではいけないのか・・・今後、きっとこういう問いかけを自分にするのかと思うと胸が苦しくなります。歳をとっても腕を組んで歩ける夫婦でいたいから・・・
先日、テレビで長門弘之、南田洋子夫妻のドキュメンタリーを観ました。洋子夫人がどうやら認知症にかかってしまったようなのです。
テレビの旅番組の最中、突然訳も解らず、怒り出した洋子夫人。それが始まりでした。夫の長門氏はおかしい、病院へ連れて行かなくてはっと思いつつ、現実を突きつけられるのが怖くて、自宅で献身的に介護しました。
若い頃、女遊びなどで、散々苦しめたからこれからは恩返しをするのだと・・・涙が出ました。これが夫婦だと思いました。何でも手取り足取り介護してきたのですが、とうとう、病院へ行くことに。そして覚悟はしていたはずの認知症という言葉を医師に告げられ、ショックを隠しきれない様子でした。そして何でもやってあげるのは返って好くないともいわれてしまいます。そこで一回目の放送は終わったのですが、今後も2人の様子をカメラで取っていくそうです。
私達がこれから背負っていく大きな問題、渡辺氏はどう捉えてくれるのでしょうか。そこまで踏み入った作品を是非書いて頂きたいと感じました。
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