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2009年3月17日 (火)

私が好きになりかけている作品たち~唯川恵編

 いつものようにノーマークだった女流作家さん。でも『肩ごしの恋人』は読みふけってしまいました。『シュガーコート』のタイトルで、文芸誌『鳩よ!』に1999年4月号から2000年11月まで連載され、2001年9月に単行本としてマガジンハウスより発行されました。恋愛にのめりこむことができないOLと、恋に翻弄されつづけるOLの幼馴染の女性が、結婚・不倫・離婚・就職・妊娠など現実に直面しながら、女性としての幸せを見つけていく物語。現代社会に生きる女性達をリアルに描き、女性だけでなく、男性からも共感を得ています。

 親友である室野(旧姓・青木)るり子の3回目の結婚式に出席した早坂萌は、式で出会った海老嫌いの男・柿崎祐介と関係を持ちました
。彼は新婚ほやほやであったが、萌はのめり込まない程度につJansem_work05s き合うようになります。また、仕事の残業中に知り合ったバイトの青年・秋山崇と食事をともにした日、彼が家に戻ることを拒み、萌は崇を家に引き入れ、一夜を過ごしてしまいます。一方、るり子は順調に新婚生活を送っているかに見えましたが、結婚した途端に夫・室野信之とのセックスに興味がなくなり、崇を自分の家に連れこんで遊んでいたりなどしていました。
 そして二人に事件が起きます。萌は自分が勤めている会社で新しい部門の責任者に任命されるのですが、それは自分が最も嫌っていた製品の担当でした。自分の描いた夢と現実との差を痛感した萌は会社を辞めてしまう。一方、るり子は信之の浮気現場を目撃。問い詰めると信之は謝罪したのだが、後日るり子は相手の女性に呼び出され、「付き合てきたのは向こう。20年の流行顔で総務部のおばさんに受けるルックスだし、私からは付き合わない」と馬鹿にされてしまいます。怒ったるり子は家を飛び出し、萌のマンションに押しかけ、さらに、崇はるり子の元を離れたあと、野宿をしたり、果てはゲイバーでバイトをしようとしたりするなどして家に戻る気配がまったくない始末。萌はしぶしぶながら、二人をマンションに泊めてしまう。かくして、萌とるり子、それに崇の共同生活が始まっていくのです。

 主人公の早坂 萌 は、27歳。四谷にある通信販売・輸入代行会社のOL。報道記者になる夢を持っていたが、挫折。世界とかかわっていたいという気持ちから輸入代行会社に入社したものの、不良品の苦情処理や後輩のミスの尻拭いに追われる。それでも、主任になり、さらに同期ではいち早く新しい部門の責任者に任命されるのですが・・・。
自分も男も信用できない性格。男は好きなのだが恋愛に発展しない。恋にのめりこむことが怖く、一歩下がった状態になる。本人は否定しているが、過去に受けたある出来事がトラウマになっている。また、お人よしな性格で、分かっていても人の面倒を見てしまうところ
がある。るり子の性格を不愉快には思ってなく、寧ろうらやましがっています。
るり子の今の夫と以前付き合っていたのですが、るり子に横取りされ、あっさりと身を引いてしまう性格。喫煙者。ただし、物語の最後では禁煙している。 終盤では、同棲していた高校生・崇の子供を妊娠してしまう。そして、子供を育てたいという思いから、崇の子供であることを本人に告げず、シングルマザーになる決意をします。

 一方、室野(青木)るり子 も27歳。萌と5歳のころから22年来の親友。バツ2。男とブランド製品と芸能人にしか興味がなく、泳ぎ続けないと死んでしまうというサメに自らを例え恋愛に翻弄されないと生きられない「鮫科の女」と呼んでいます。
 とにかく自分が幸せになるために男に積極的なアプローチをかけ、男には好かれる反面、女からは嫌われているタイプ。その一方で結婚すると途端に冷めてしまい、初婚も2年で、1年後の再婚は半年で終わっています。そして今回の結婚生活にも暗雲が垂れ込めて・・・
 これまで結婚した男達とはいずれも略奪愛。初婚は不倫の末に手に入れたのだが、刃傷沙汰になりかねないほどの騒動を起こしているのです。これに懲りたのか、3度目の結婚相手は"信頼できる"萌が付き合っていた相手。 喫煙者。生まれ変わるとしたら猫になって金持ちに飼われたいとか。 終盤では、書店のオーナー・リョウに心惹かれ、リョウはゲイで女にまったく興味を抱かない男であったが、気持ちが揺らぐことはなく、信之と離婚。

 対照的な二人の女性を軸に進められる作品です。 ストーリーの流れは唯川さんの作品『恋人たちの誤算』に似ていますが圧倒的にこちらの方がコミカルです。 唯川さんに作品は、どちらかと言うとシニカルで読んでいて心にグサグサと刺さる作品が多いですが、この『肩ごしの恋人』はコミカルで読んでいて元気になれる作品です。 普段あまり読書をしない方や唯川さんの作品を読んだことない人にもお勧めです。この作品のタイトルは「『恋愛』を正面に見据えた生き方より、自分が目指す目標に向かって突き進んで生きていく中で、気が付くと肩ごしに恋人が見える生き方の方が幸せになれる」という意味がこめられています。(肩ごしの恋人 ドラマサイトより)
 女性ならだれしも、二つの究極の価値観のなかで、自分がしっくりする場所をみつけ、また現実と折り合いをつけて生きているのだと思うものです。だから本を読みながら、よきにつけ悪しきにつけ、二人の主人公両方に感情移入してしまう・・・最後まで飽きることのない小説でした。女も女、男も男・・・誰に感情移入したということの無い作品で、肩が凝りません。

『キスよりもせつなく』もよかったですねえ。失恋の痛手もまだ癒えない知可子は27歳のOL。予定のない週末、偶然に会った同僚の有季から彼氏と紹介されたのは、知可子を振った張本人だった。レンタルビデオ店で出くわした男を仮の恋人に仕立てあげ、その場をしのいだ知可子だが、皮肉な恋の運命が回りはじめる―。知可子と、彼女を巡る女たちそれぞれの愛の選択、恋の行方は?迷い悩みながら、ひたむきに恋する女たちの姿を描く長編です。 登場人物の個性がとくに強く感じた作品でした。主人公は、恋人を友人にうばわれ、落ち着かない日々を過ごしていたときに、ひとりのカメラマンと出会い、恋におちていくのですが、あそこまで男性に自分の素顔をさらせる主人公がとてもうらやましく感じました。

 恋愛は不安との戦い。結婚は不満との戦い。唯川恵、待望の長編恋愛小説。音響メーカーに勤める26歳の美月。最近学生時代の友人が婚約し、自分も結婚を考えるようになった。4年前に結婚し、平穏な生活に満足している34歳の主婦英利子。二人の女性の人生が、ひとりの男性を挟んで交錯し、やがて違う生き方を選び取っていく…。不倫、浮気、離婚、再婚などを描き、恋愛と結婚の実相と揺れ動く女性たちの気持ちを丁寧にすくいとる、著者本領の長編恋愛小説。「MORE」人気連載の単行本化『瑠璃でもなく、玻璃でもなく』もスーッとん吹き抜けた風のようで、こういう恋愛小説ならいくらでも読んじゃうぞ的な気持ちになったのは私だけでしょうか・・・もう恋愛は卒業した私が言っても説得力が無いですけど・・・でも充分堪能しました。
 

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