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2009年5月30日 (土)

私の好きな芸術家~アンリ・ルソー編

 色あざやかな緑のジャングルの絵画で有名なルソーは、この時代の印象派や新印象派などのどの流派にも当てはまらない独特の絵を描き続けた人です。素朴でありながら、見ている人を不思議な気分にさせる絵画を描いています。ルソーの絵画には彼の性格があふれているのです。純粋に絵をかくことを楽しみつづけたルソーは、その絵を見ている私たちまで楽しくて不思議な気持ちにさせてくれますね。そして、なんとルソーは独学で絵を描いていたのです!そんなルソーとは、一体どんな人だったのでしょうか。
 
 フランス北西部のラベルという町に中世にたてられた塔があり、Annri002 ルソーは1844年にその塔の中で生まれました。 ルソーの家は貧しく、ルソーは高等教育を受けることができませんでした。ラベルの町で数年間仕事をした後、ルソーは24歳でパリにでます。 ルソーはパリの税関で25年間働き続けます。ルソーは税関を辞めるまで「日曜画家」として絵を描き続けたのです。他の画家と違い、ルソーは独学で絵画を学びました。ルーブル美術館で許可をもらい、休みのたびに模写をくりかえし絵画を学びました。また、緑の自然もたくさん観察していました。これが後のルソーの絵画に大きく影響しているのです。 ルソーは、自分の才能を信じて独学で絵を描き続けました。初めてルソーが画家としてデビューしたのは、1885年のアンデパンダン展です。しかし、ルソーの才能は誰も認めず、ルソーの絵画を見て「この絵は誰もが子供のころに描いて喜んでいた絵だ」と笑っていたのです。 そんなことにも負けずにルソーは絵画に専念するため、1893年49歳で税関の仕事をやめてしまいます。彼を認めてくれたのは、ピカソやゴーギャンといった新しい画家たちだけでした。人を疑うことを知らず、素朴な人柄のために、ルソーは事件に巻き込まれたこともありました。 生きている間、ルソーの絵画は一部の画家たち以外に認められることはありませんでした。ルソーは世間に認められることなく、1910年にこの世を去りました。享年66歳でした。

 非常に特徴のある絵を描いたルソーは、自然が好きで緑をよく描いています。その他にもルソー独特の絵画の特徴があります。 ルソーの描く人物はとても特徴的です。ほとんどが真正面か真横を向いて、目鼻も同じように描かれています。人物の向きや顔を見たらすぐにその絵を描いたのがルソーだとわかるほどです。この描き方が批評家たちにとっては下手に見えたのでしょう。

 自然が好きだったルソーの絵画にはジャングルや緑がたくさん出てきます。ジャングルや動物を描いた作品のほとんどは、南国のジャングルを実際に見たわけではなく、熱帯植物園で見た植物を元にルソーの空想で描かれています。ルソーはこのジャングルの密林を描くにあたり、何十色もの緑色を使い分けているのです。 

 右の絵はルソーの絵画でもっとも有名な作品といってもよいでしAnnri004_2 ょう。砂漠の真ん中で眠る女性とそばにいるライオンと、空にうかぶ白い月がとても神秘的に表現されています。女性が着ている服の模様はカラフルなのに、とてもバランスがとれています。この作品は、ルソーが生きている間には評価されず、1923年にパリの配管工の作業場で発見されました。現在はニューヨーク近代美術館にあります。
 上の絵は、ルソー最後の作品です。暗いジャングルの中にいる動物と女性、そして周りを囲む不思議な花たちが印象的です。ジャングルなのに、長いすがあるというのも不思議な感じがしますよね。ルソーはこれについて「長いすに横たわって眠っている女性は、この森に運ばれて、魔法使いの音楽を聴いている夢を見ているのです」と語っています。タイトルどおり夢の中の作品なのです。ニューヨーク近代美術館にあります。 見ている人を不思議で幻想的な世界に連れて行きそうなルソーの絵画は立体感があまりありません。ですが、細かく描かれた植物やジャングルにルソーの作品への愛情を感じることができそうです。

 もっとも、ルソーは「西洋絵画」の王道を歩んだ画家ではありませんでした。40歳で画家になった彼は、批評家や画壇から無視され侮辱され、絵具代にも事欠く困窮のうちに没しました。しかし、私はルソーの絵が好き。カラリと晴れた青空のような無邪気さ、明るい静謐ににじむ抒情は、神のわざにも似ていますね。周りの評価を気にせず、ただ色彩と戯れ、描くことに喜びを見出すような純真さが、似ているのかも知れません。それにしても、ルソーの作品は、「西洋」の王道を拒否して、その結果、どこか「東洋」に近接しているところがあると思います。たとえば『サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島』の冴えた白い月、『牛のいる風景』の大きな賢者のような牛に、私は禅画の趣きを感じてしまいます。

 ルソーの絵に登場する人物は大概、真正面向きか真横向きで目鼻立ちは類型化しています。また、風景には遠近感がほとんどなく、樹木や草花は葉の1枚1枚が几帳面に描かれている。このような一見稚拙に見える技法を用いながらも、彼の作品は完成度と芸術性の高いもので、いわゆる「日曜画家」の域をはるかに超えており、19世紀末から20世紀初めという時期に、キュビスムやシュルレアリスムを先取りしたとも言える独創的な絵画世界を創造しました。

ルソーの作品は、画家の生前はアポリネール、ピカソなど少数の理解者によって評価されたのみでした。ルソーの年譜に必ず登場するエピソードとして、1908年、ピカソ、アポリネールらが中心となって、パリの「洗濯船」(バトー・ラヴォワール)で「アンリ・ルソーの夕べ」という会を開いたことが挙げられます。これは、からかい半分の会だったとも言われますが、多くの画家や詩人がルソーを囲んで集まり、
彼を称える詩が披露されたのでした

 好き嫌いがはっきり分かれる作品だと思いますが、私も最近いいなあと思い出した作品が多いので、是非、絵をご覧下さい。

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コメント

こんにちわ(*^_^*)
こちら曇っていて冷たいです。

アンリ・ルソーほんとに独特の絵ですね。
日曜画家で晩年は苦労したことは聞いていましたが、詳しいことをこの記事で知りました。
やはり芯から絵を描くことが好きだったのでしょうね。
絵もアカデミズムに毒されることなく自由奔放に。
専門家が稚拙といったのはわかる気がしますが、今では誰にでも愛される絵のファンタジアという感じですね。
晩年はやはり苦労したのですね。
でも最後まで描き続け、幸福な生涯だったと思いたいですね。

とこさん、いつもコメントありがとうございます。
大胆な発表にはわたしも驚きましたが深い根拠があるのでしょうね。
レスを書いておりますのでいつかご覧になってください。

投稿: KOZOU | 2009年5月30日 (土) 17時58分

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