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2009年5月 3日 (日)

私の好きな作品たち~古沢 良太編

 『ALWAYS 三丁目の夕日』で2005年、私達に懐かしい時代を見せてくれた古沢さん。昭和33年(1958年)の東京の下町を舞台とし、夕日町三丁目に暮らす人々の暖かな交流を描くドラマに仕上がっています。(当時の港区愛宕町界隈を想定しています。)
 建設中の東京タワーや上野駅、蒸気機関車C62、東京都電など当時の東京の街並みをミニチュアとVFX(CG)で再現した点が特徴で。昭和30年代の街並みが再現されたコンピュータシミュレーションでは、東京工科大学メディア学部の研究室が協力しました。
 映画に出てくる、三丁目の住宅、商店、街並みは全てセットで再Shagaru005 現されており、東宝第2、9ステージ及び、館林市大西飛行場に建設されたオープンセットで撮影されました。三輪自動車ミゼット、家電、店内の商品等は殆どが各地から集められた本物です。
 山崎貴監督によると当時の現実的情景再現以上に、人々の記憶や心に存在しているイメージ的情景再生を重視したようです。
 東京の下町、夕日町三丁目にある鈴木オート。そこにC62蒸気機関車に乗って青森から集団就職で六子(むつこ)がやってくきます。六ちゃんと親しまれます」が、実は大企業に就職できるかと期待していた六子はボロっちい下町工場の鈴木オートに内心ガッカリ。
その向かいにある駄菓子屋「茶川商店」の主人・茶川竜之介は小説家。茶川は居酒屋「やまふじ」の美人店主・石崎ヒロミから見ず知らずの子供・古行淳之介を酔った勢いで預かってしまう。帰すに帰せず、二人の共同生活が始まる・・・という皆さん御なじみの映画の脚本が古沢さんでした。

 その後も映画では2007年『キサラギ』で、某ビルのペントハウスに、互いに面識のない五人の男たち(ハンドルネーム:家元、オダ・ユージ、スネーク、安男、いちご娘)が集まった。彼らはD級アイドル如月ミキのファンサイトを通じて知り合い、如月ミキの一周忌の為に集まったのでした。一年前にマネージャーの留守番電話に遺言メッセージを残し、自宅マンションに油を撒いて焼身自殺した彼女を悼むのが会合の趣旨だったが、オダ・ユージが彼女は自殺ではなく「他殺だ」と言い出したことで状況は一変する。徐々に明らかになる当時の状況、次々と明かされる五人の男達の正体。紆余曲折を経て彼らが辿りついた真実とは・・・?これも話題になりましたね。

 同2007年に『ALWAYS 続・三丁目の夕日』でまたまたヒットを飛ばし、というか静かなレトロブームが進み、あらすじは、東京下町の夕日町三丁目では、茶川が黙って去って行ったヒロミを想い続けながら淳之介と暮らしていた。そんなある日、淳之介の実父である川渕が再び息子を連れ戻しにやって来ます。そこで茶川は、人並みの暮らしをさせられる証しを必ず見せるからと頼み込み、改めて淳之介を預りました。
 大きな事を言ったはいいが、どうやって安定した生活を見せられるのか。やけ酒に酔いつぶれる茶川ではあったが、翌朝、一度はあきらめていた“芥川賞受賞”の夢に向かって黙々と執筆を始める茶川の姿があった。それを見た鈴木オートやまわりの皆は、心から応援し始めるのでした。
 茶川が芥川賞へ向けて全力で書き上げた内容とは、それはなんとも川のせせらぎのように純粋な物語であった。鈴木オートや商店街の人たちは殆どの人が茶川の書き上げた本を買い何度も読み、泣く人、感動する人、あのころを思い出す人など、人それぞれが違った観点をもち茶川を支えていくのである。はたして黙って去っていったヒロミとの運命はいかに・・・というところでしょうか。

 私が何故、古沢さんを選んだかというと、ご存知の通り、向田邦子賞を取ったと聞き、聞いた事のない名前にただ呆然としてしてしまったからです。テレビドラマは欠かさず観ていた私なのですが、最近は殆ど見ていません。でも『相棒』は再放送で観ていました。古沢さんがシーズン4から長きに渡って書かれていたとも知らずに・・・迂闊でした。

 ところで今回受賞対象になったのはどの作品かといいますと、『ゴンゾウ 伝説の刑事』でした。舞台は、井の頭警察署。主人公はかつて捜査一課に在籍し、3年前のある事件をきっかけに、現在は備品係に所属する警察官・黒木俊英。毎日、職務中にテレビゲームにのめり込んでいる変人扱いの彼には、ゴンゾウという仇名がつけられていました。ゴンゾウとは警察用語で能力や経験があるのに働かない警察官という意味の隠語、もしくは、英語(gonzo)で風変わりな・愚か者などの意味を持つといいます。ある日、バイオリニストの女性が射殺されます。その時、彼女の知人であった婦警が一緒にいた事から、世間に注目され、先輩刑事の代理として捜査一課に復帰したゴンゾウは、さまざまな拳銃事件を解決していきます。過去に関係のあった女性の、少女時代の幻影に苦しむ黒木は、「この世界に、愛はあるの?」 という女性の残したキーワードが、一連のRatur001 殺人事件に関係していることに気づく・・・
 ストーリーは一話完結ではなく、一人の女性の射殺事件の真相究明と、それに伴い明かされる黒木が3年前関わった事件が焦点となっています。刑事ドラマが向田邦子賞を取ったのは初めてではないでしょうか。それだけ価値のある番組だったのか、『女王の教室室』のように現代に問いかけるドラマだったのか、観なかった私はただ悔しい思いで一杯です。
 黒木 俊英を演じたのが内野聖陽さんと聞き、ややアットホーム的な部分もあったのかなとも思いましたが、これでは机上の空論です。

それで、時下に古沢さんの声と書評を見てみることにしました。すると、古沢氏は「向田邦子さんは、作家としても女性としても気になっていた存在。今回の受賞で少し振り向いてもらえた気持ちです」』とコメントしていました。そして『ゴンゾウ~伝説の刑事」は、刑事ドラマであり、連続ドラマであり、さまざまな制約があったであろうと思われます。その枠組みの中、作家としての挑戦を感じる作品でした。達者な構成力、はりめぐらせた伏線等、視聴者を楽しませることに心血を注ぐ精神とセンスは授賞に値すると判断いたしました。今後、違うジャンルへの挑戦を含め、テレビドラマの脚本家としての更なる飛躍を期待します。おめでとうございます。』と受賞の喜びの声と授賞理由についてに述べられておられました。

 『木曜ドラマ・おいしいごはん 鎌倉・春日井米店』ではコメディの要素を加えたホームドラマ的な作品になっており、佐々木倫子による少女漫画を脚色した『動物のお医者さん』などもホームドラマな要素がびっしり詰まっています。

 これからが楽しみの脚本家さんでした。

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