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2009年6月16日 (火)

私の好きな俳優たち~室田 日出男編

私が知ったのはピラニア軍団でどすのきいた役から『前略おふくろさま』での3枚目に移行し始めた頃でした。川谷卓三さんもあの番組で好きになりました。北海道札幌東高等学校卒業だったんですね。また同郷の思いが湧いてきます。

 東映ニューフェイス第4期としてデビュー。同期には山城新伍、佐久間良子、花園ひろみ、曽根晴美、山口洋子などがいた。大部屋俳優時代は岩尾正隆、川谷拓三、志賀勝らと共に斬られ役集団の一員で、後に彼らは渡瀬恒彦の発起のもと「ピラニア軍団」を結成。室田さんはリーダー的存在として、ヤクザ映画を中心にテレビドラマでも無骨な個性を見せました。有名な代表作に『仁義なき戦い』シリーズでの悪役ですね。、紆余曲折の多い人生だったようですが、深作欣二ら監督陣や役者仲間からの信望は厚く、幾度の憂き目にも負けずに復活しました。1980年代以降はヤクザ映画から離れ、一般映画で活躍しはじめました。
 軍団構成員の中で最もキャリアが長く、主に代貸クラスでの出演Murota001 が多く、鶴田浩二さんや松方弘樹さんの片腕として活躍したり、時には鶴田氏や安藤昇氏といったスター俳優に混じってクライマックスの殴り込みに参加したりと、印象的な役柄に恵まれることもしばしば。当時の東映ファンから注目されるのも早く、その1人であった宇崎竜童は、勝手に“ヒクヒク仮面 ”(死ぬ時に必ず鼻をヒクヒクさせてブッ倒れるのが由来らしい)と命名して応援、スクリーンに登場すれば、主演スターそっちのけで大歓声を送っていたらしいです。一般的にピラニア軍団No2と捉えられる傾向が強いのですが、ブレイク直前の川谷拓三がインタビューの際、「室田日出男さんみたいな役者になりたいです。」と語っていた事からも、室田さんが他の軍団構成員と較べて、1ランクも2ランクも上に位置する役者である事がお判りいただけるでしょう。
 無論、ご承知のように室田の俳優人生もまた、華々しいスポットライトとは無縁のドン底の歴史だったのも事実でありました。スター候補生としてデビューを飾ったのも束の間、撮影に遅刻しては役をオロされて謹慎を命じられたり、ロケ先で大喧嘩を起こして自宅待機のあげく、東映から専属解除を通告。契約俳優となるや否や、正義感から先頭に立って組合運動にも参加。上層部から反乱分子扱いされて、徹底的に仕事を干される結果に。そのような長い苦節の果てにピラニア軍団でブレイクし、人気スターへの切符を掌に収めたかに見えた大事な時期ですら、またもや不祥事を起こして謹慎処分を受け、出演中のTVドラマや予定されていた映画等、次々と降板の憂き目に遭ってしまいました。でもその後、室田さんは見事な復活劇を遂げました。復帰第1作として主演した日活ロマンポルノ「人妻集団暴行致死事件」がそれです。(私は残念ながら観てません・・・)かつて「暴走パニック大激突」で、寡黙ながらも全身に充満された凶暴性の凄みや、また「ドーベルマン刑事」でも、陰湿なるサイコパス的狂気を演じた事がありましたが、本作ほど内面的演技を要求された事はなかったのではないでしょうかか。室田さんが演じた地方都市で生活を営む中年男性像は、思わず噎せ返ってしまいそうになるほど密度が濃く、これまでの東映系作品で、菅原文太氏や渡哲也氏を相手に怒鳴りわめき散らしていた姿が、いささか子供っぽく感じられた程でした。
 しかしその反面、短期間ではありましたがお茶の間からの需要がストップ。川谷拓三のようにCM出演のオファーが来る事も、志賀勝氏のようにバラエティに引っ張りだこになる事もなくなってしまった。だが、拓ボンが「河内のオッサンの唄」に主演した当時を振り返って、「僕がこの映画に出たことは失敗だった。(中略)少なくとも役者・川谷拓三としては10年は遠回りしたと思っている」(「3000回殺された男」サンマーク出版)と、人気者として祭り上げられたが為に、コメディ演技ばかり要求された忸怩たる心情を、率直に吐露していた事を考えると、「影武者」「野獣死すべし」「マルサの女」、そして第35回ブルーリボン賞助演男優賞に輝いた「死んでもいい」etc数々の作品に出演し、着実にキャリアを重ねた室田さんの方が、むしろ映画俳優の王道を歩んで来たように思えてしまうのが何とも皮肉でもありますね。

 数年前、病に倒れて故郷で静養していましたが、無事に復帰。貴重な脇役として、映画・ドラマ・Vシネマで活躍。。かつて「ムービー・マガジン」第13号(昭和52年8月1日発行)誌上にて、いくつんなっても、その年齢の芝居できる役者さんになりたいね。 田中絹代さん
なんて素晴らしい女優だよ。死ぬまでやってたもん。しわも隠さないで、自分の年齢の芝居してたもん。(中略)50歳になったら50歳の芝居をね。いるよ、日本にだって、笠智衆さん、大滝秀治さん、みんな本物の芝居してるもん。一緒に演らしてもらって涙出るときあるもん。」と、諸先輩方の名を挙げて語っていたが、それから四半世紀を経た現在の芸能界において、室田日出男こそが自分の年齢の芝居ができる数少ない役者の1人である、と今やすっかり老成した感のある彼の姿に、心をこめて賛辞を送りたいです。

2002年6月15日、肺癌のため亡くなりました。64歳没。まだ信じられません。亡くなるまでドラマや映画以外は(『徹子の部屋』などのトーク番組へのゲスト出演を除き)ほとんど出演しなかった事で知られ、室田の葬儀・通夜にて山城新伍氏から「彼は僕らと違ってバラエティには出ないから、本当に役者だね」と言われるほどでした。Murota002 また大の酒好きで知られ、ドラマなどで共演した陣内孝則ら後輩俳優からも慕われていました。『前略・・・』のあと、ウィスキーのCMに卓三さんと出た時の逸話があります。これは倉本聡さんが書いておられたのですが、本当のウィスキーをのんで撮影したので最後には『体制の媚びたらいかん!』などという発言が出てきたりしてスタッフもまいっていたそうです。なんだか、いいですね、そういうのって。でももう役者でなくても一人の人間として息をしていてくだされていたらと思うと・・・・都内の自宅で妻の鞆子(ともこ)さん(63)は「あんなに体格のいい夫が最後は体が小さくなって別人のようでした。病状が急変したので、家族も最期をみとれなかったのが悔やまれます」と涙ながらに話しました。
 室田さんは俳優生活の後半は病気との闘いだったそうです。92年には映画「死んでもいい」の撮影中に北海道で倒れ緊急入院。お酒の飲み過ぎで腎臓を痛めて10時間に及ぶ手術を受けました。その際、肝臓の肥大も心配され3週間の入院生活。95年には都内で大量吐血して緊急入院、CU(集中治療室)で治療を受けました。 私生活でも役柄同様の“無頼派”を通しました。
 出演した作品は700本以上。仕事への思い入れも人一倍強かったといいます。長男の晃さんは昨年12月に病院で最後に会いました。室田さんは無理に起き上がって「いい作品があれば、オレはまだ(仕事を)やるんだ」と話したといいます。

悪役一筋の人生の幕切れは、あまりに早すぎました・・・安らかなご永眠をお祈りいたします。

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コメント

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こんにちわ。
室田日出男、懐かしいです。
東映やくざ映画全盛の頃から、存在感あったですね。
よく見に行きました(^_^;)
映画館出るときは肩を怒らせて(^_^;)
基本的に反体制心情だったのですね。
彼の男気なのでしょうね。
ほんとに晩年はいい味出していましたが。
ご冥福を祈ります。

投稿: KOZOU | 2009年6月17日 (水) 14時03分

おひさしぶりです!
いつもながら
深い情報ですね・・しみじみ

最近有名人が60歳前後でお亡くなりに
なります。今年58歳とても人ごとに思えない歳になりました。
やっぱり、五体満足の内にやりたこと
おもいっきり触れておきたいと。
そして
迷惑は最小限にして
この世に未練なく
とっても難しい課題ですが、
目標としては
すばらしいかと・・
茶々

投稿: 茶々 | 2009年6月16日 (火) 15時27分

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受信: 2009年6月22日 (月) 08時21分

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