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2009年6月13日 (土)

私の好きな画家~サンドロ・ボッティチェッリ編

 初期ルネサンスで最も業績を残したフィレンツェ派の代表的画家で、フィリッポ・リッピの元で学び、メディチ家の保護を受け、宗教画、神話画などの傑作を残しました。メディチ家当主ロレンツォ・デ・メディチの死後、ドメニコ会の修道士サヴォナローラがフィレンツェの腐敗を批判し、市政への影響力を強めた。そのためボッティチェッリも神秘主義的な宗教画を描くようになりました。 ボッティチェリはサヴォナローラの反対派からの画の注文もよく受けており、こうした事実は彼がヴァザーリの記すよりはずっと自由な立場にいたようだと言われます。この時期以降の作品は生彩を欠くとして評価は高くありませんでした。1501年頃には制作を止めます。
 フィリッピーノ・リッピに彼は師事していました。当時の花形工房であったヴェBottecheri003ロッキオの工房とも関係を持つ。1470年に制作された商業裁判所のための寓意画『剛殺』が初作品。以降約20年間にわたり時の権力者メディチ家の支配下にあったフィレンツェで第一線の画家として活躍。1481年ローマに呼ばれシスティーナ礼拝堂の壁画制作に携わる。同年代には春(ラ・プリマベーラ)やビーナスの誕生など異教的な神話を題材にした傑作を残しますが、晩年はサヴォナローラの宗教的影響を強く受け、硬質的で神経質な表現へと作風が一変。サヴォナローラの失策もあり人気が急落、ついには画業を止めるに至りました。最晩年は孤独のうちに死去。享年65歳。

 『プリマヴェーラ』と『ヴィーナス(ウェヌス)の誕生』の作者と して著名になったのが19世紀だなんてひどい話ですね。異教的、官能的なテーマの絵画であり、フィレンツェ・ルネサンスの最盛期を告げるものでです。官能的でありながら、菩薩を拝むような気持ちになる不思議な絵です。『ヴィーナスの誕生』として知られる絵画は、ルネッサンス期のイタリアの画家サンドロ・ボッティチェリの作品で、キャンバス地に描かれたテンペラ画です。古典的な女神ヴィーナスは、水より出現して貝殻のうえに立ち、霊的情熱の象徴であるゼピュロス(西風)に乗って、岸へと吹き寄せられています。季節の女神であるホーラたちの一人が、花で覆われた外套を女神へと差し出して、ヴィーナスのポーズは、当時発見された「恥じらいのヴィーナス」タイプの古代彫刻から得たものといわれています。

 ボッティチェリは遥か昔に失われた古代ギリシアの名画について、2世紀の歴史家ルキアノスが著した記述に着想を得た作品群を描いており、『ヴィーナスの誕生』はBottechari001そのうちの一つでといえます。アペレスによって描かれた古代の絵画作品は『ヴィーナス・アナディオメネ』と呼ばれています。アナディオメネとは「海からの誕生」を意味します。これがボッテチェリの絵画の題名として使われているのです。『ヴィーナスの誕生』はプラクシテレスのアフロディーテ像と類似点が多くあります。
 当時まだポンペイは未発見でボッティチェリはポンペイの壁画をついぞ見ませんでしたが、ルキアヌスの記述にあるアペレスの絵画は当時すでに有名であり、それをローマ風に再現したものは見たことがあったかもしれないと言われています。

  また、ボッティチェリ成熟期を代表する作品のひとつ『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』は、アントニオ・プッチの息子でロレンツォ・ディ・メディチの甥でもあるジャノッツォ・プッチとルクレツィア・ビーニの婚礼の際に同家から依頼され手がけられた、カッソーネかベッドの一部だと考えられている本作は、ボッカッチョの小説≪デカメロン≫中の騎士道に関する主題である第五日第八話『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』を典拠に描かれた全4作品からなる作品群で、全てボッティチェリの構想によって弟子であるバルトロメオ・ディ・ジョヴァンニやヤコポ・デル・セッライオの手が加わりながら制 作されました。本作に描かれる『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』は、恋人パオラ・トラヴェルサーリに拒絶され自身の不幸に沈むナスタジオが、騎士と犬に追いかけられ責め苦を受ける女性を目撃する場面から始まり、この騎士はナスタジオ同様想い人に拒絶され自殺した騎士でBottechari005、自殺した原因は騎士を拒絶した想い人の残忍さにあるとし、想い人の内臓を引き裂くなど責め苦を与え、ナスタジオが恋人パオラとその家族を招き同場面を目撃させると、恋人パオラはナスタジオに心を許し結婚に同意したという話で、各場面の調和の取れた構成と、豊かな色彩や陰鬱を感じさせる舞台的場面構成が秀逸の出来栄えを見せています。また『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』の作品群はフェレンツェのプッチ家が約300年間所蔵した後、幾多の人々に渡り現在は第I場面から第III場面までプラド美術館が、第IV場面はアメリカの個人蔵となっているそうです。

 フィレンツェ派最大の巨匠サンドロ・ボッティチェリ晩年の代表作『神秘の降誕』。ローマのアルドブランディーニ家が旧蔵し、現在はロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵する本作に描かれる主題は、神の子イエスが聖胎した聖母マリアの御身体から現世に生まれ出た神聖なる場面≪キリストの降誕≫ですが、本作においては主題よりも、老いたボッティチェリがサヴォナローラからの宗教的影響を受け、孤立した存在ゆえの激しい感情に満ちた表現に注目したいところです。画面上部にはギリシア語で謎めいた銘文が以下の内容で記されています。「私アレッサンドロはこの絵画を1500年の末、イタリアの混乱の時代、ひとつの時代とその半分の時代の後、すなわち聖ヨハネ第11章に記される3年半の間悪魔が解き放たれるという黙示禄の第2の災いの時に描きました。そして悪魔はその後、第12章で述べられるよう鎖につながれこの絵画のように≪地に落とされる≫のを見るのであろう」。この銘文は友愛の精神と祈りによって罪悪が裁かれることを意味しており、画面全体を支配する激しい感情性や宗教的古典表現などの多様性は、フィレンツェ派の中で孤高の画家となったボッティチェリの内面における瞑想の表れです。なお本作は画家の作品中、唯一年記がされる作品でもあります。

 やはり浮かばれない画家が一人、淋しく死んでいった・・・まるでそれが画家の運命かのように・・・

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コメント

Major thankies for the blog post.Much thanks again. Fantastic.

投稿: veronique vega | 2016年7月 8日 (金) 20時36分

こんばんわ!

足とも申請しようとしているところです(^^)
ビーナス誕生の絵は僕も子供のころ見て、目が吸い寄せられた(すみません・・・笑)経験がありますね★
画家も信じるものが変わったり内面的な変化で作風ががらりと変わるんですね。それにしても19世紀だなんて、なんだかさびしいですよねぇ。。

足ともってなかなかいいですよね~!

投稿: yukidaruma | 2009年6月13日 (土) 22時53分

こんにちわ。

ボッティチェッリも数奇な運命だったのですね。
当時は画家として独立するすべはなく、誰かパトロンがつかないとやって行けなかったのでしょうね。
パトロンこければ皆こける(^_^;)
少年のころ彼の絵をよからぬ興味で見ほれたことを思い出します(^_^;)
確かに当時はあのビーナスとか顰蹙をかったでしょうね。
そしてやはり西洋の絵もすごいですね。
当時にこんな厚みのある絵を。
画業もやめ孤独のうちに死去、本当に痛ましいですね。

投稿: KOZOU | 2009年6月13日 (土) 10時50分

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