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2009年7月12日 (日)

私の好きな芸術家~四谷シモン編

★最初は不気味に思えた人形達を作る四谷さん。でもいつのまにか人形愛に見せられるようになっていきました。
その魅力は何なのでしょう。大阪万国博覧会のために制作した「ルネ・マグリットの男」は、巨体の不気味な老人が15体、薄暗い中に屹立していて、その間を繊維に見立てた赤いレーザービームが行き来するという作品でした。のちにこのうちの一体は状況劇場の舞台装置として使われました。

 初期の作品「未来と過去のイヴ」は、裸にガーターベルトと網タSimonn004 イツを付けた姿の人形でパーマをかけた金髪に、濃い色の口紅を付けており、一種挑発的な印象を受けました。それに続く「慎み深さのない人形」も同様に挑発的な作品でした。手足のない裸で、上半身と下半身が180度逆に付いている。シュルレアリスムの影響が直接的に顕れていたように思われます。しかし以降の作品からは挑発的な印象が隠れ、その表情は永遠の相を見ているような穏やかなものになっていきます。
「機械仕掛の少女」「機械仕掛の少年」は、エコール・ド・シモンの生徒であった荒木博志との共同作業によるもの。一部は実際に動く作品。「少女の人形」の一体は澁澤龍彦の所有となり、『少女コレクション序説』『裸婦の中の裸婦』などにより読書界でも有名な作品となりました。
 
  人形制作にはナルシシズムが抜きがたいものだという発見により、「ナルシシズム」「ピグマリオニスム・ナルシシズム」を制作。これはシモンさん自身を人形化した作品です。

 少年の頃より人形制作を好み、川崎プッペに私淑しました。中学卒業後、アルバイトをしながら人形制作を続けたそうです。林俊郎氏、坂内俊美さんに師事していました。

★昭和40年、雑誌『新婦人』に掲載されていた、澁澤龍彦氏の紹介によるハンス・ベルメールの球体関節人形を見て衝撃を受け、それまでの人形制作方法を捨ててしまいました。アニメーションの原義「animate」には、「生命を与える」という意味がありますね。映画「イノセンス」で、押井守監督はアニメーションに人形創作との類似点を見い出し、「人はなぜ自分の似姿を作りたがるのか」という問いに挑んでいいます。人はなぜ人形を作るのか。日本を代表する人形作家で、同展に出品している四谷シモン氏に聞いきました。

★『その問いに答えはないと思います。もちろん、日頃から、「人はなぜ人形を作るのか」と問い続けています。しかし、問いそのものは必要でも、答えは必要でないはずです。なぜなら、「人形とは、人形である」としか言えないからです。本来、あらゆる問いに答えはないと思います。ただ、答えがないからといって問いを止めないのが人間なんです。だって、様々な事象について、人間は何一つ分かっていないんですから。いえ、そもそも「分かる」ということだって分かっていないはずです。だから問い続ける以前は、稚拙なものだ思っていましたが、この前「イノセンス」の映像を見せてもらって、ショックを受けました。こんなに綺麗なものがアニメーションで表現できるのかと。それまで、押井監督の作品を見たこともなく、接点もなかったのですが、今回の展覧会によって出会えたのはとても不思議な気がします。

★20歳ぐらいの頃、フランス文学者の澁澤龍彦さんが、雑誌「新婦人」で、ドイツのシュールレアリスムの美術家ハンス・ ベルメールの球体関節人形を紹介していたのを偶然目にして、衝撃を受けました。私はそれまで、人形とはポーズが固定したものだと思っていました。
 球体関節人形は、手や足に丸い球が入っていて、キュッキュッSimonn005 と動く。これに驚いたわけです。人形とは、人間の似姿、人の形と書くわけですから、関節が動くということは原点だと教えられたんですね。もちろん触っても構いせんが、実際に触る人はほとんどいませ。ん。むしろ、実際に動かすことよりも「可動性がある」という事実の方が重要なのです。おそらく世界でも初めての画期的なことでしょう。もちろん、球体関節人形をはじめとし様々な人形を集めた展覧会はありますが、これだけの規模で開催されるのは極めて異例のことです。今
、パリのアル・サン・ピエール美術館で、私も参加している「人形 POUPEES」展が開かれていますが、今回の「球体関節人形展」は、そういったものと比べても圧倒的で、一種異様な雰囲気が漂っています。作品が持っているエネルギーがただならないのです。どんな人形展でも、大抵は静かでおとなしいものになりがちですが、この展覧会は違います。非常にガサガサしていて騒がしい。人形たちが、見る者に強く揺さぶりをかけてくるように感じます。ヨーロッパで度々開催される展覧会でも、こんな雰囲気を味わうことはできません。』それだけ魂がこもった人形たちなのでしょうね。怖いけれど、観てしまうんですよね・・・・

★ この人間らしさと、ひんやりとした人工的な素材感との独自な融合を見せる作品群は、国内外を問わず多くの人々を惹き付けますね。

そしてシモンさんの人間性が、常に向上心となり新たな分野への挑戦になっているのでしょう。役者としても唐十郎氏などと『状況劇場』の女形として舞台に立ち、また80年代から90年代にかけては久世光彦氏演出のTBS向田邦子新春スペシャルに出演するなど、役者としての顔も持っています。唐さんにしてもシモンさんにしても本業がありながら役者としても特異性を放つ人に私は唖然とするばかりです。

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コメント

四谷さんの映像いくつか見た覚えがありますね。
記事の画像も引き込まれるような妖しい魅力ですね。
画期的な人形制作家だったのですね。

人形は確かに人の形、心の形、精巧な人形をじっと見ていると、不思議な怖いような気持ちになります。
そしてこれほど制作家は魂を入れるものなのですね。
球体関節人形、いかにもドイツ人が作りそうな感じで不気味ですがこれも画期的な人形なのですね。

わたしはきわめて素朴ですが埴輪なども好きです。

投稿: KOZOU | 2009年7月13日 (月) 19時52分

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