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2009年7月 5日 (日)

私の好きな作品たち~大森寿美男編

☆久々の脚本家のお話です。コメディから時代劇まで幅広いジャンルをこなす、スペシャリストです。10代で演劇活動を始め、劇団「自家発電」を旗揚げし、作・演出を手掛けました。1990年代前半には渡辺えり子主宰の「劇団3○○(さんじゅうまる)」の公演「1の1の6」(1990)、「クレヨンの島」(1991)、「月に眠る人」(1993)等に出演。1997年には「男的女式(おとこてきおんなしき)」が第3回劇作家協会新人戯曲賞にノミネートされました。同年オリジナルビデオ「新・静かなるドン」で脚本家としてデビューしました。

『泥棒家族』(NTV)、『トトの世界~最後の野生児~』(NHK BS2)にKawaguti03 おいて“社会に対する確かな視線”が評価され、当時史上最年少33歳で第19回(2000年度)向田邦子賞を受賞しました。

 『泥棒家族』は、ごく普通に暮らしている家族が、泥棒を仕事にしていることを知ったひとり息子の困惑。戸野島家に旅行に出ていた祖父の久作(津川雅彦)が帰ってきた。光彦(長谷川純)は父の洋介(舘ひろし)、母の奈津子(南果歩)とともにだんらんを楽しむというもので、そんなある日、光彦は友人の映子(盛内愛子)の父親から娘に近づくなと言われました。訳が分からない光彦は、家の秘密を探り、大量のかぎを見つける・・・・

 これが、普通実は自分の親もおじいちゃんも泥棒だとわかったっら、すごくシリアスで、おもたい内容のはずなんですが、すっとぼけてユニークなセリフの連発で、シリアスに全然ならないんです。おじいさんは孫をあとつぎにするべく、昔ながらの技を教えようとすけるのですが、孫はその気にならなりません。父は「自分からこの仕事を好きになってもらってやってほしい」とゆっくり見守るスタンス。息子は自分の家族が泥棒の仕事をしてることを、納得できなくてお父さんに問いただすけど「職業に貴賎はないだろう?」と言いかえされてしまうわけです。

 おじいさんもお父さんも泥棒とゆう仕事にポリシーを持ってなんだか職人みたいなふうな描き方なんですね。仕事部屋で、マンションのマスターキーをせっせと作っていたり、(あのアイカギ作りのキカイでが・・・・と研磨してる)、ねらいを定めた家の写真の現像とかてるのが、妙に感心してしまいました。プロですね。
 

この泥棒一家と対照的に描かれてるのが、刑事の一家です。刑事は津川を刑務所の常連として知っていて、軽蔑してるけど、実は自分の家庭は崩壊しているのでした。娘の万引きをきっかけに夫婦仲がわるくなり、妻が家出中。この娘は本当はいい子なので、両親のことを気に病んでいます。そして、ハセジュンの彼女でもあるんですね。この刑事は仕事熱心なのはいいけど、家庭をかえりみないタイプで、奥さんになかなか素直になれない。このちゃんとした世間からみたらいい家庭が実はバラバラで、泥棒で世間に顔向けできないけど家族円満ってゆう対比がとってもおもしろい設定だったです。泥棒が刑事の家族の心配を本気でしてたり。最後は泥棒一家の息子が彼女のために一肌ぬいで、彼女の両親を和解させるのですが。
 キャストを見ても、ハセジュンやその彼女がまだまだ子供っぽさのほうが濃い顔だちなので、あどけなさがとてもこのドラマにはあってましたね。舘ひろしも、こんな地味で、おかしみのある男の役もできるんだ~と、認識をあらためました。(あまり舘ひろしのドラマって
見たことなかったから)あと、藤井君や、シルヴァが泥棒に入られた住人役でてましたね。

 ただ面白いだけでは終わらないのが向田邦子賞です。故・向田邦子さんのテレビ界における偉業をしのび、その名を永く放送界に記録すると共に、テレビドラマの脚本の質的向上と発展を期すために1982年に制定された。毎年、最も優れた脚本作家を年間賞の形で表彰しています。そこにノミネートされるだけでも大変なことなのに、賞を取ってしまう、これは、私が脚本家さんをこよなく愛している証でしょう。

☆『トトの世界~最後の野生児~』は、1999年、週刊「漫画アクション」にて連載、その斬新なストーリーで人気を博したさそうあきら氏の話題作を新進気鋭の脚本家、大森さんが果敢にもドラマ化に挑戦。心に傷を抱える少女・真琴が、言葉を話せない野生の少年・トトに出会います。少年は真琴から言葉を教わり、真琴は少年から忘れていた大切なものをもらい、そして、自分を取り戻してゆく…。現代を生きる人にコミュニケーションの原点、そして言葉の持つ意味を深く問いかける珠玉の物語です。

☆向田賞を取った方は殆ど、NHKの大河ドラマに携わっていますよね。大森さんは『風林火山』で話題になりましたね。

☆私が好きな作品はこのほか、『星になった少年』は暫くみなかったので編集に携わっている事を知りませんでしたが、よかったですね。
 
☆『一番大切な人は誰ですか?』もいい作品でしたよね。東京郊外の鴨下町の交番に一人の警察官(巡査部長)松ヶ谷要(岸谷五朗)が赴任してきます。初めての街、しかし、結婚して間もない妻の路留(牧瀬里穂)と新しい生活切り開いていく希望にあふれた街であったはずでしたが.....。ある日、商店街をパトロールに出た要は、ある女子中学生を見かけて驚いてしまう。彼女は、小南(小林涼子)、別れた妻東子(宮沢りえ)についていった娘だったのでした。東京郊外の鴨下銀座商店街を舞台に、前妻と娘に偶然再会してしまった警察官の要とその妻路留、前妻の東子と娘の小南の4人の心の葛藤を描いたホームドラマでした。

暗くなりがちなストーリーを脚本の大森寿美男の軽妙で味のある台詞によって、ちょっとほろ苦くもユーモアと暖かみのあるドラマに仕上がっています。特に要のことがまだ心の中にありながらも、一人の働く女性として生きていく、どこかか弱さを残した芯の強い女性を演じているりえさんの演技が印象的でした。

その宮沢さんも撮影後の会見で「東子という女性に出会えて本当に良かったです。」と述べています。
 交番の住所録から東子を訪ねた要は、東子の友人坂下(内藤剛志)から離婚してから洋裁店を経営している東子の苦労を聞かされます。
また、東子の経営するアトリエTOCOのシャッターがベンゼンで落書きされ不安になっていた東子と娘の小南に、要は次第に心を動かされていく・・・そして「あんな落書きされて、一人で商売いていくのが怖くなった。」と言った東子の言葉を思い出した要は、自らバイクで向かってくる犯人に飛び掛り拘束。一方、路留は川辺でお互い偶然素性を知らない小と出会い親しくなりますが、小南は路留の持っていた「鬼平犯科帳」の本から路留が父の新しい妻だと気づいてしまいます。路留もまた偶然見つけたアルバムから小南が要の娘であることを知ることに。東子は自分の店を手伝うようになった若い川口という男(忍成修吾)に店のお金を全て盗まれてしまいます。川口はコンビニ強盗の容疑者でした。要への想いを断ち切れていない東子は、盗難のショックと寂しさから思わず要に抱きついてしまいます。そして「要ちゃん、助けてよ!」とすがる東子に、要は「助けるよ。お前をこんな目にあわせた奴、許しておかないから!」と言って東子を抱きしめる
のでした。
 一方、お互いの素性を知った路留と小南は心の中でわだかまりを持ちながらも仲良くなり、小南は要の家に出入りするようになります。そして、母を励まそうとした小Hosino003南は路留の提案で「アトリエ・トーコ」のホームペ-ジを立ち上げます。早速八丈島から仕事の依頼が入りますが、小南が路留と付き合っていることを知った東子はショックを受け、路留から携帯を渡された小南を見た東子は激しく動揺し小南を責めてしまいました。そして東子は要に「あなたが来たおかげでメチャクチャクチャ。」と言って怒りをぶちまけました。そして、「どうすれば今の小南と君を助けられる?」と東子にところにやってきた要に、落ち込んでいた東子は「私が寂しいときどうするんだった!」と言ってキスしてしまって・・・ショッピングセンターで見知らぬ男小沼(村田充)からデジタルカメラをもらって いた小南は、小沼に拉致されその自宅に監禁させられてしまうのです。小南からのメールで事態を知った要は小南を助け、小沼をボコボコに殴ってしまい謹慎処分を受ける。謹慎中に八丈島に逃避行した要と小南、小南は父へのわだかまりをぶつけ「(離婚を)何でもないと思っていた自分が一番嫌いだった」と訴え、自分を救った父に「ありがとう!」と言うのです。そして八丈島から帰った要は思わぬ光景を目にします。何と東子の家に路留が来ていたをしてしまのでが・・・。路留を捜す要はケンカに巻き込まれ警察手帳を失くしてしまい、どうにか路留を見つけた要に、路留は自分の胸のわだかまりをぶつけたりします。要は「一人で辛くなるな。君には俺がいるんだ!」と言い、路留も「ごめんね。辛くさせて!」と言って家へ戻るのです。警察手帳が見つかり八丈島への辞令がくだった要は最後に東子に会いに行きました。「ありがとう!東子でいてくれて。」と言った要の頬をはった東子は「もうこれで思い残すことは無い!」と要に告げ、二人は涙を流しながら別れるのです。

☆DVDがあったらもう一度観たいです。これからもっと羽ばたいて欲しい脚本家さんです。

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コメント

おはようございます。
今日は風が強いです。

大森寿美男さん、名前知らなかったですね。
「泥棒家族」書いてあるのを読みましたらとてもおもしろそうですね。
代々受け継がれる職人のような泥棒一家、考えるだけでおもしろいです。「ちゃんとした世間からみたらいい家庭が実はバラバラで、泥棒で世間に顔向けできないけど家族円満ってゆう対比がとってもおもしろい」、ほんとに皮肉でおもしろい設定ですね。
向田邦子さんのは小説だいぶ読みましたがやはりうまいですね。
『トトの世界~最後の野生児~』も知らなかったですがとても興味深い設定ですね。

投稿: KOZOU | 2009年7月 7日 (火) 07時12分

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