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2009年8月20日 (木)

久々に読んだ作品~『壺霊』

 私がミステリを読むきっかけとなったのが内田康夫氏の浅見光彦シリーズでした。かなり読んでからドラマで、光彦役を水谷豊さんが演じているのを見て嬉しくなり、ずっとファンだったのですが、水谷さんの服装が光彦らしくないと言うクレームがどこからかきて、日本テレビでの放映は中止。代わりに他チャンネルでこぞって浅見光彦シリーズ、信濃のコロンボシリーズとやるようになって、いつしか 私は内田先生の作品は読まなくなってしまいました。

 ところが風の便りで『壺霊』はいままでとは違う!と聞かされ、頭Hirosi001 の体操程度に思って読み始めました.

 舞台は京都。代々伝わる高価な壺を手に、老舗骨董品店の女将が姿を消した。秋の京都を取材で訪れていた浅見光彦は、彼女と壺の行方探しを頼まれます。その頃、清水寺の裏手で女性の他殺体が発見され……。
 
ヒロインの父・伊丹勝男が光彦に言います。「京都の女は怖いですよ」と。

 今回の浅見光彦は、謎のスポンサーのご指名により、京都・高島屋デパートにあるダイニングガーデン京回廊の全店舗の料理を紹介する記事を書くよう依頼を受けますそして、同時に兄の陽一郎直々に、京都の老舗骨董店・正雲堂の嫁の失踪と高麗青磁壺の紛失事件の解決に尽力するよう頼まれるのです。

 家出した旧家の嫁と、無くなった『紫式部』という名の高価な壺。その壺の名付け親の不審な死・・・殺されてしまう彼の隠し子・・・
京都を舞台に名探偵、浅見光彦が例によって、その謎を解いてゆきます。

上巻は、ゆったりと進みます。調査依頼した方も非協力的で、浅見も強引には進めようとしません。

下巻に入って、刑事と協力するようになって展開が早くなり、めざましく進展します。全体に文章は読みやすく、安心して物語を楽しめる上下巻あわせて650ページ近くの長編ですが、長いという感じがしませんでした。
 

 巻末を見ると、京都新聞に連載されたものだと解りますが、新聞連載のためか同じことの説明が何度も繰り返されるのが少々飽食感。
重複する所がいくつかありクドイ感じもしますが、これは内田先生らしさかもしれません。

ダイニングガーデン京回廊の仕事は付け足しのようになってしまうし、光彦の事件への取っ掛かりになる安井金比羅宮「縁切り碑」の形代(伊丹佳奈が失踪する原因と考えられたもの)が、実は伊丹夫婦の作り物であったとか、少々興醒めなトリックもありますが・・・

 京都通でないとなかなか知らないような場所やエピソードが物語に効果的に絡んでいて、内田作品ならではの、ひと味違うご当地ミステリーを楽しむことができます。今回面白いのは、推理に自信を持って事件の関係者と対決する浅見が、どういう目に遭うかです。

これまでどちらかというと、神懸かり的な推理力で事件を解決してきた印象のある名探偵ですが、今回ばかりは少し空回りします。

しかも、20歳そこそこのヒロインから40代の魅力的な女性まで、京女に翻弄されっぱなし。寂光院の放火事件や祇園祭での事故など、本当の事件もふんだんに出て来て、内容は盛りだくさん。読者は浅見さんとともに、京の町家暮らしやグルメを味わううちに、事件の謎を追い、意外な犯人にたどり着く……内田ミステリの王道的作品だと思います。

 読者は、我らが次男坊光彦とともに、京の町家暮らしやグルメを味わううちに、事件の謎を追い、意外な犯人にたどり着くでしょう。

下巻の終りに入っている小林由枝さんの「京都空想迷路」も面白く、ちょっとしたガイドブックとしても楽しめます。

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コメント

こんばんは
推理小説も最近はテレビ、映画、アニメ、ゲーム
はたまた、パチンコになり、
原作も、アニメ発が主流になって
観光、グルメなどの各種ビジネスの種になりましたね。

これらを生み出す作者の頭はすごい
創造マシンだといつも尊敬しちゃいます。

投稿: 茶々 | 2009年8月21日 (金) 17時51分

おはようございます。
今日は少し涼しくなるといいですけれど。

内田康夫さん、天川殺人事件でしたかね、少し読んだくらいです。テレビでもよく見ますね。
浅見光彦さん、ちょっと趣味ではないのですが、これはおもしろそうですね。
「京都の女は怖いですよ」、とても実感がこもっていますね(^_^;)京の男もしたたかで一筋縄ではいかないようですけれど、女性はそれに怖さが(^_^;)子供のよめさん、京女だけは反対します(^_^;)
京の街やグルメも満載なのでしょうね。
それだけでおもしろいでしょうね。

とこさん、いつもコメントありがとうございます。レスを書いていますのでいつかご覧になってください。

投稿: KOZOU | 2009年8月20日 (木) 09時13分

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