« 私の好きな画家~ジャン・ジャンセン | トップページ | 私の好きな作品~『火宅の人』 »

2009年8月17日 (月)

私の好きな作品~『夜明けの街で』

 またまた東野さんの登場です。『容疑者Xの献身』は言葉どおり献身的な石神さんと言う一人の男性のあくまでも献身的な愛で形作られたわけですが、この『夜明けの街で』は全く石神さんの対極に位置する約どころの男性が主人公です。これはいったいどういうことか東野さんのインタビュー記事から抜粋します。

 軽快な語り口、ミステリとラブストーリーの画期的な融合は東野圭吾さんの新境地。そこには主人公らの成長や家庭の崩壊と再生の過程、また男性の浮気に対する賢明な対処法などを読み取ることもできる、奥行きのある作品です。

 時効を間近に控えた殺人事件の真犯人は一体誰なのか? とJannsenn081 いうミステリと初めての不倫の恋にのめり込んでいく中年男性のラブストーリーをひとつの作品に詰め込もうと思われた経緯から教えて下さい。

東野: 「僕はサザンオールスターズの『LOVE AFFAIR ~秘密のデート~』がすごく好きで、あれをカラオケで歌っている時に“この世界を小説にしたいな”と思ったんです。あれは不倫の歌なのに少しもドロドロしてなくて、さっぱりとした感じがある“この主人公はどんなヤツだろう? どんな不倫をしてるんだろう”と興味が湧いたわけです。5、6年前かな。で、あの歌、歌い出しが“夜明けの街で”なんですよ」

―― 確かにそうですね。

東野: 「それともうひとつ別に“愛している人間が犯罪者だったらどうなるだろう”という話を書きたいなというのがあって。でも“犯罪者だった”や“犯罪者です”だと、答えは結構絞られそうな気はするんですよ。それで“犯罪者かもしれない”という場合はどうなんだろう、と。あと、犯罪者だとわかって捕まっちゃったら、もう絶対に別れなければいけないけど、時効がきたらどうなのかな、とか。
  そういういろんな要素を含んだものを書きたいな、という気持ちもありましたね。まあどっちにしても“犯罪者かもしれない人間”を愛するからには、その気持ちは相当強いものだろうし、気持ちは燃え上がっている。気持ちが燃え上がるのは、二人の間に障害があってこそ生まれてくる。それで不倫だな、と。そういうことから、そのふたつの世界をくっつけてみようと思ったわけです」

―― “新しい試み”書き進めていく感覚もいつもとは違うものだったわけですか?

東野: 「今までとは全然感覚が違いました。いつもとは全然違うことをやるんだ、という意識も最初からありましたしね。文章の雰囲気も、これまでとはずいぶん違う。実を言うと最初に書き出しの“不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた”から原稿用紙三枚分くらいを書いて、担当の編集者に見てもらったんですよ。『こんな感じで書こうと思っているんだけどどうだろう?』って。そんなこと、今までしたことがない。だからやっぱり、こんな調子で書いちゃって大丈夫かいな、という不安があったんですよ」

―― “ふあん”ですか?

東野: 「ええ。恋愛感情をここまで中心に持ってくるのも初めてでしたからね。『容疑者Xの献身』のように、理屈抜きにこいつはこの人に惚れている、というところからスタートできれば問題はないんだけど、徐々に惹かれていって、のめり込んでいって…というのも、今まで書いたことはない。しかもそれをメインにして15年前の殺人事件と重ねなくてはいけないとなると・・・。これは普通の書き方でいったらしんどいな、と思ってました。主人公のキャラクターが最初に頭にあったので、そんなに重たい書き方にしたくないという気持ちも、強かったですからね」

―― 新たな試みの成果が本となって書店に並びます。今の気持ちを教えてください。

東野: 「この作品が成功するかどうか、全然わからなかったし、現実に成功してるかどうかも自信はないです。ただ、明らかに今までにやったことがないことをやったんで、『ちょっといつもと違うな、でも悪くないな』と思ってもらえたらいいな、と思ってはいます。男性と女性で読み方は違うだろうと思うし、同じ男性でも若い人と年寄りとで違うだろうし、女性も独身か既婚か、また不倫の経験が有る無しでも違うだろうし。どんな反応が来るか、楽しみですね」

とおっしゃっておられました。

 あらすじは、渡部の働く会社に、派遣社員の仲西秋葉がやって来たのは、去年のお盆休み明けだった.僕の目には若く見えたが、彼女は31歳だった。その後、僕らの距離は急速に縮まり、ついに越えてはならない境界線を越えてしまう。しかし、秋葉の家庭は複雑な事情を抱えていた。両親は離婚し、母親は自殺.彼女の横浜の実家では、15年前、父の愛人が殺されるという事件まで起こっていた。殺人現場に倒れていた秋葉は真犯人の容疑をかけられながらも、沈黙を貫いてきた。犯罪者かもしれない女性と不倫の恋に堕ちた渡部の心境は揺れ動く。果たして秋葉は罪を犯したのか。まもなく、事件は時効を迎えようとしていた・・・.

 この本、私は「一粒で2度美味しい」本だと思います。
まもなく時効を迎えるある殺人事件をめぐった正統派のミステリJannsenn015 ーであり、主人公が不倫の恋に落ちた相手はその事件の容疑者・・・・という、苦めの恋愛小説でもあります。

 主人公・渡部は40歳前,当初は不倫を軽蔑する姿勢をとっていますが,秋葉に興味を持ち,一線を越えてしまいます.自分が築き上げてきた家庭を壊すことに躊躇いを覚えつつも,徐々に秋葉との関係に溺れていきます。一方で、ある瞬間からの秋葉の決意(開き直り?)には及び腰になる一面も。
「あたしはあなたを自分のものだと思うことにしたから」・・・
不倫中の女性にこんなこと言われたら及び腰になりますね…不倫にのめりこむ過程,妻をどうやって騙すかという工夫,そして妻バレを恐れる男性.恋愛小説というよりブラックコメディとしても読めるかもしれません。ラストは男性なら背筋が凍ります。

「男は優しいのではない、ずるいのだ!」と読めるリアル辛辣なメッセージにはゾッとするし、中年男性が恋に夢中になる様は、実に鋭く描かれています。

 これは、ミステリーと思って読むと期待はずれになると思ますね。 2人の出会いも、不倫の恋も、これといって特別に変わったことはなく、言い換えれば誰にでも起こりそうなことです。 だからこそ物語に入り込みやすかったのかもしれません。

 東野作品の良さはキレイごとがないことであると私は思うのですが、 これもものすごく純粋な不倫(恋愛)を書いているのに、そこに男の狡さ、女のしたたかさ、強さ、そういうものもちゃんと入れ込まれてあり、なるほどその通りといちいち納得しながら読みました。

  結婚に夢見てる女性にはお勧め出来ない作品かもしれませんね(笑)。

|

« 私の好きな画家~ジャン・ジャンセン | トップページ | 私の好きな作品~『火宅の人』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

Can't wait around to determine what you have!

投稿: Cordell Yorkey | 2012年12月 6日 (木) 09時20分

S=@4Pf/n, www.ex-navi.biz, 脚フェチ系動画専門, http://www.ex-navi.biz/?page_id=168

投稿: 脚フェチ系動画専門 | 2011年10月25日 (火) 20時13分

I have been checking out some of your posts and i can state nice stuff. I will make sure to bookmark your website.

投稿: earning money | 2011年2月10日 (木) 08時21分

こんばんわ。
これは読んでないですが、書かれてありますように一粒で二度どころか、ずいぶんたくさん盛り込んであるようですね。
作家がどのようにして作品を考えていくか経過がわかりおもしろかったです。
新機軸をだそうと思えばやはり苦労が多いですね。
不倫、確かに想像以上に多いようですね。
「男は優しいのではない、ずるいのだ!」これはどきりですね。
確かにそう言う面多いでしょうね。そしてそこに男の狡さ、女のしたたかさ、強さ、現代はそうなのかもですね。
昔は心中ということが多かったのでしょうが今ではこれは笑い話。不倫もいかにうまくやるかのゲームなのでしょうね。
とこさん、コメントありがとうございました。
記事も今後考え直します。

投稿: KOZOU | 2009年8月18日 (火) 23時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/528484/30987481

この記事へのトラックバック一覧です: 私の好きな作品~『夜明けの街で』:

» おおかみかくし [おおかみかくし]
おおかみかくしの最新動画や評価レビュー、攻略情報なら「おおかみかくし」へ! [続きを読む]

受信: 2009年8月17日 (月) 06時20分

» サザンオールスターズ アルバム YouTube [ymniuのブログ]
CDジャケット用額縁とサザンの「桑田佳祐」の前前アルバム「風の詩を聴かせて」のセット【081031_cd】商品価格:4,000円レビュー平均:0.0 [PR]人妻と無料でセックス出来る出会い掲示板矢沢永吉「メガヒットが欲しくないなんて言うやつは嫌いだ」 - お笑い ... その当時から..... [続きを読む]

受信: 2009年8月17日 (月) 11時39分

» 恋愛メール 書き方 [好きな女性を振り向かせる連絡の取り方]
もてる男女の恋愛メール術異性に好かれる人はどんなテクニックを使っているのか知る事ができる [続きを読む]

受信: 2009年8月26日 (水) 03時52分

« 私の好きな画家~ジャン・ジャンセン | トップページ | 私の好きな作品~『火宅の人』 »