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2009年8月30日 (日)

私の好きな俳優~藤原 竜也編

 1997年 蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』主役オーディションでグランプリを獲得し、デビュー。バービカン・センター(ロンドン)での公演にて、「15歳で初舞台とは思えぬ存在感で天才新人現る」と大絶賛され、 翌年の凱旋公演でもその迫力を見せ付けた藤原さん。

 蜷川幸雄氏にとって無くてなならない存在になっていきましたね。

【舞台】                                   

「身毒丸」(蜷川幸雄演出)1997(英国)、1998、2002年       Tatuya001     
「大正四谷怪談」(栗田芳宏演出)1999年
「唐版 滝の白糸」(蜷川幸雄演出)2000年
「近代能楽集~弱法師~」(蜷川幸雄演出)
  2000、2001年、2005年ニューヨーク
「身毒丸 ファイナル」(演出:蜷川幸雄)2002年
「エレファント・マン」(宮田慶子演出)2002年
野田地図第九回公演「オイル」(野田秀樹演出)2003年
「ハムレット」(蜷川幸雄演出)2003年
「ロミオとジュリエット」(蜷川幸雄演出)2004年
「天保十二年のシェィクスピア」(蜷川幸雄演出)2005年
「ライフインザシアター」(ポール・ミラー演出)2006年
「オレステス」(蜷川幸雄演出)2006年
「ロープ」(野田秀樹演出)2006年~2007年
「ヴェニスの商人」(グレゴリー・ドーラン演出)2007年
「身毒丸 復活」 (蜷川幸雄演出)2008年
「かもめ」 (栗山民也演出)2008年
「ムサシ」 (蜷川幸雄演出)2009年

これだけでも藤原さんの魅力全開なのですが、ここまで蜷川氏が彼にこだわるのは何故なのか最初は解りませんでした。

でも舞台のDVDを観て、理屈ぬきで素晴らしいと思いました。日本物も洋物も蜷川氏と藤原さんのタッグを、組めば魅了されない人はいないはずです。
 最近、小栗旬くんもこの世界に足を踏み入れたようで、でも2人は仲がよく、『ムサシ』は楽しみにしていました。

 まるで時代劇の映画が始まるというようなイメージで開演した「ムサシ」。

大きく真っ赤な太陽を背景に「佐々木小次郎(小栗旬)」は「舟島」の浜辺で「武蔵(藤原竜也)」はまだ来ないのかと待っている。「小次郎」のじりじりとした苛立ちをこの太陽で表しているかのような演出。平静さを失っていた「小次郎(23歳)」は「武蔵(29歳)」に一撃のもとに倒される。第一場はいわゆる「巌流島」の戦いの場面でした。今回の井上「ムサシ」はこの決闘から6年後に鎌倉にある小さな宝蓮寺での参籠禅の3日間の話です。

舞台は禅寺、竹林、法話、座禅、読経の声、能(謡、舞、役者のすり足の動作)、嗅ぎ茶(聴き茶)、歌舞伎の拍子木音、笛の音、幽霊、狸と兎の童話「かちかち山」の挿入など日本的な文化や精神や童話を取り入れて進行されています。

 寺で修行をしていた「武蔵」に果し状を持って「小次郎」がやってきました。「小次郎」は死んでいなかったのです。6歳違いの二人が6年後にあわや再決闘というストーリーの中にこの劇のテーマが潜んでいると思いました。

 何場でどの様な言い回しだったか忘れまさしたが宝蓮寺に招かれていた「大徳寺の沢庵和尚(辻萬長)」が「小次郎」と「武蔵」に向かって、「何のために剣術修行をするのか」と尋ねた場面で「小次郎」の「一番になるため」との答えと「武蔵」の「相手がいるので」との答えに対し沢庵和尚が二人に愚か者と叱咤しました。

 作者井上ひさし氏は現代の競争至上主義や人を危めることに対し怒りをぶつけたのではないか思います。
また「沢庵和尚」は「人がどうしても人を斬らねばならない三条件は、自分の欲からでなく、怒りからでなく、おろかでないこと」と諭します。この三条件をクリア出来る人などいないので、結局は刀を抜くことはありえない。この三条件は仏教の三悪の「欲」、「怒り」、「無智」を意味しているのでしょう。

 「筆問屋の主人(鈴木杏)」の父の仇打ちの場面で、「筆問屋のTatuya002 主人」が「うらみがうらみを呼ぶので仇討をやめる」と宣言。
過去や現在の戦争でのうらみの連鎖による色々な難問題への作者の提言なのではないでしょうか。うらみを断ち切ることは非常に難しいことですが、誰かが決断しなければならないのです。

 この場面は「武蔵」と「小次郎」への決闘中止の示唆でもあると思いました。

「かちかち山」に関しては狸が兎を追い掛けて一刀両断で「ウサギ」を真っ二つに切ったら「ウ(鵜)」と「サギ(鷺)」になり空遠く飛び立って行ったというセリフが場内を笑わせました。
 
 これは「武蔵」と「小次郎」が決闘をやめ辺鄙な土地へ別れて行くエンデイングのイントロだったのでしょうか。単なる笑いをとるセリフとは思えません。それとも他の意味があったもでしょうか。「武蔵」が地方で農業でもやると旅発つことや「小次郎」も地方へ旅発つことは、現在の日本の地方分権や農業振興を意図していると思うのは勘ぐりすぎでしょか・・・
 今回の「ムサシ」はエンターテイメントとして非常に面白かったです。人を殺しあうというシリアスなストーリーに笑いを入れた喜劇。

 特に笑えたのは、二人の決闘を阻止しようと「柳生剣法の柳生宗矩(吉田鋼太郎)」、「沢庵和尚」、「坊主の平心(大石継太)」が「武蔵」、「小次郎」も含め5人6脚で動き回る場面や「筆問屋の主人」の父の仇打ちのために「小次郎」に剣術を学ぶ場面での「武蔵
」、「柳生宗矩」、「沢庵和尚」、「平心」、「材木問屋の女将(白石加代子)」、「筆屋の下男の忠助(堀文明)」がタンゴの音楽に合わせ動き回る場面でした。これらの場面は5回目の公演とは思われないくらいにみんなの息があっていたそうです。
脇役の「白石加代子」、「吉田剛太郎」の演技が光りました。また「鈴木杏」の発声も良かったですね。

 今回の中越 司の美術はシンプルでしたが日本人の心に訴えるものでした。特にたくさんの竹が舞台上を動きながら禅寺が現れてくるシーンは幻想的でした。また、舞台でのやりとりの転換時における風に揺れる竹と効果音のハーモニーがすばらしかったです。

『デスノート』でも話題になりましたが、こんなに若いのにやってくれるな、ムサシ!というのが本音です。これからもいい俳優として活躍を期待してやみません。

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コメント

あ、KOZOUでした(^_^;)

投稿: KOZOU | 2009年8月30日 (日) 16時19分

こんにちわ。
速攻で山に登ってきました。
気持ちよかったです(*^_^*)

藤原竜也さん、最初NHKの新撰組で見ました。甘いフェイスと演技でどうかなーと思ったのですが今やかなり化けてあるのですね。
井上「ムサシ」、記事を読んでおもしろかったですね(*^_^*)
「うらみがうらみを呼ぶので仇討をやめる」ほんとに大切なメッセージなのでしょうけれど、人間世界、一向にやめる気配ないですね。少なくとも思想や芸術の面でいつまでも訴え続けることがだいじなのでしょうね。
「一刀両断で「ウサギ」を真っ二つに切ったら「ウ(鵜)」と「サギ(鷺)」になり空遠く飛び立って行ったというセリフ」もとてもおもしろいですね。井上ひさし面目躍如でしょうね。
5人6脚やタンゴも舞台で見たらとてもいいでしょうね。
怪優白石加代子さんは大ファンです(*^_^*)

とこさん、いつもコメントありがとうございます。レスを書いていますのでいつかご覧になってください。冬の北海道、行きたいです。
選挙どうなるでしょうかね。
日本中の注目ですね。

投稿: | 2009年8月30日 (日) 13時07分

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