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2009年10月27日 (火)

私の好きな作品~『ゴッホ殺人事件』

 おなじみ高橋克彦さんの作品です。「写楽殺人事件」「北斎殺人事件」「広重殺人事件」ほか、高橋克彦氏の小説にみられる着想のあざやかさ、物語の展開の鋭さには脱帽です。「写楽殺人事件」を読んだ時は正直、今までには無かった着想だと関心させられました。
 日本とヨーロッパを舞台にした美術界の謎を中心に物語が進むこの「ゴッホ殺人事件」でもしかりです。
 
 今や世界中で知らぬ人の無い「ゴッホ」という天才画家。「ひまわり」Gohho40 「黄色い部屋」「アルルの跳ね橋」「星月夜」…彼の絵を一度も目にしたことが無い人間を探す方が困難ですよね。生前に売れた絵はたったの一枚である…という彼の絵は、今や一枚10億~15億という天文学的価格で取引されているそうです。
 
 ゴッホは、数々の恋愛事件、ゴーギャンとの諍い、耳きり事件、精神錯乱…そして自殺。また、四歳年下の弟・テオとの美しい兄弟愛で知られますね。テオは当時パリ屈指の大手画廊に勤め、兄であるフィンセント・ゴッホを経済的に援助し続けていたことでも有名です。
 ここで疑問が起こります。弟は大手画廊に勤めながら、何故、兄ゴッホの絵が売れなかったのでしょう・・・ ここも読んでいて惹きつけられる部分です。

 写楽や北斎が頭を過ぎります・・・

 この「ゴッホ殺人事件」舞台はパリ。オルセー美術館の美術修復家、由梨子はオランダ人の父を持つハーフ。ある日、母が突然自殺し隠し金庫の中からあるリストが見つかる。どうやらゴッホと関係のあるリストのようだ。オルセー美術館のゴッホ専門家のキュレーターに問い合わせると、どうやらそれはナチスが押収し、公開されていないゴッホの作品50点のリストだということが発覚する・・・

ゴッホは自殺だったのか?
50点のリストは本当にゴッホの作品なのか?
そして
これだけ愛されている画家、ゴッホの作品がなぜ生前は一枚の絵も売れなかったのか?

という美術史上で依然として謎の部分にも触れられています。このGohho3 ミステリー、どこまでがフィクションでどこまでが真実か、解らなくなくなります。とにかく読んでいて難しいけれど面白いのです。

 後半では「浮世絵シリーズ」で活躍する浮世絵専門家の塔馬も登場。シリーズ探偵である塔馬双太郎の悲しい過去の清算もファンには見逃せません。絵画をテーマとして大ベストセラーになった「ダビンチ・コード」も面白かったですが、それと同じくらいこの本も面白いと私は思いました。
 複雑なトリックなどはありませんが、「ダビンチ・コード」よりも絵そのものにこだわっていることが感慨深いですね。しかも扱っている画家はダビンチに負けず劣らず高価な値の付くゴッホです。それと、ナチスのがらみの話も興味深いのです。ナチスが押収した美術品というのは美術家の中ではそれだけで評価に値するほどの正確さがあったとのこと。

母親の死の謎を追うはずだったのが、ゴッホの未発見の絵の存在にかかわってくることで、ゴッホの生涯の謎の解明にせまることになっていく展開が面白いです。

 ゴッホの秘密めいた生涯を知りたい方には是非お勧めです。

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コメント

Great blog article.Really thank you! Will read on...

投稿: girls in stockings | 2016年2月 3日 (水) 07時41分

Very neat blog article.Much thanks again. Fantastic.

投稿: traffic exchange | 2015年6月 2日 (火) 18時57分

wow, awesome article.Much thanks again. Fantastic.

投稿: Levi | 2015年5月15日 (金) 06時35分

Marunagさん、ご訪問大変ありがとうございます。ゴッホには幼い頃から親しんでいたのですね、ステキなご両親ですね。
私はいつの間にか糸杉の風景が好きになっていました。
 こんな謎解きの作品に出会えたのは兄の推薦があったからなんです。最初に読んだのは『北斎殺人事件』だったので、今までのミステリとは全く違うのが印象的でした。ゴッホは
割と読み安い部類かもしれません。絵も好きなら尚のことお勧めします。記事読んでくださってありがとうございました。
また私も遊びにいきますね。

投稿: とこ | 2009年10月27日 (火) 21時46分

こんにちは。
私が小さい頃に、サンシャイン60に「ひまわり」の実物が来ていて、親に連れていってもらい、下敷きを買ってもらった事があるんです。
すごく小さかったのでよく分かっておらず、後々親から聞かされたのですが。
でも、その下敷きは、物心のついた時には結構気に入っていて、ず~っと長い間それを使っていました。なので、すごく頭にひまわりの絵だけはこびりついているんです(*^.^*)。
けれど、よく分からない年齢でしたし、ただ、「黄色で綺麗だな。」って思っていた程度だったと思います。
とこさんの記事を読んで、今、改めて、ゴッホの生涯を知りたくなりました。
是非読んでみたい一冊です。
ありがとうございました。

投稿: Marunaga | 2009年10月27日 (火) 21時18分

KOZOUさん、ご訪問、いつも感謝しております。
KOZOUさんのブログを読ませていただいたあと、私の文章の陳腐さに愕然とさせられました。当然ですが。写楽や北斎も私には今まで読んだ事の無いストーリー展開で面白かったですね。ゴッホは私の好みも手伝って読んでしまったところがありますが、上手く表現できなくて、ごめんなさい。でも読んでくださり、参考になるコメント、ありがとうございました。

投稿: とこ | 2009年10月27日 (火) 10時17分

茶々君のご主人様、度重なりご訪問ありがとうございます。
ホントにミステリを書く人の頭の中ってどうなっているのでしょうね。特に高橋さんは歴史と上手く絡めているので、何が本当なのかもうごった煮になりますよ。でも上手く内容を説明出来ていなくてごめんなさい。ご主人様ならごった煮にならずに読めると思いますので、是非暇妻つぶしにどうぞ・・・
 ありがとうございました。

投稿: とこ | 2009年10月27日 (火) 10時08分

おはようございます。
推理小説は世界を含めてたくさんの
名探偵をはじめストーリーの意外性
テーマ限定などわくわくドキドキの創造物ですよね。
作家の頭って
すごいな~といつも思っています。

ゴッホの謎解き楽しそうですね。
なぜ
売れなかったのか?
興味あります。

投稿: 茶々 | 2009年10月27日 (火) 08時41分

おはようございます。
今日はいい天気です。

これはとても面白そうですね。
高橋克彦さん、歴史ミステリーがお得意ですね。殺人ミステリーはあまり好きではないのですが歴史ミステリーは大好きです。「写楽殺人事件」「北斎殺人事件」はとてもおもしろく読みました。
やはり考証がすごいですね。
ゴッホ殺人事件は知りませんでした。
記事を読ませていただき、とても興味がわきました。
スケールもおおきいですね。
ヒトラーが画家志望だったこともあり、ナチスは美術品にこだわっていますね。
あれほどの悪魔の所行を行いながら、モーツアルトを聞き、美術を堪能する、人間はほんとに不可思議ですね。
テオとの兄弟愛はわたしも打たれますがミステリーの核になるようですね。
ゴッホの生涯には確かに未解明の謎があるような気がわたしもします。
とてもおもしろそうです。
わたしもいつか読んでみたいと思います。
とこさん、いつも読んでいただきコメント大変ありがとうございます。
レスを書いていますのでいつかご覧になってください。歴史は人間ドラマの宝庫ですね(*^_^*)

投稿: KOZOU | 2009年10月27日 (火) 08時39分

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