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2009年11月 2日 (月)

私のお勧めの作品~『横道世之介』

 これも大様のブランチの受け売りなのですが、かなり評判になりそうな吉田修一さんの本です。

 18歳の世之介君が大学へ入って様々なことと出会い、成長していくストーリーです。世之介君は何処にでもいそうな一見目立たない存在なのですが、読んでいるといとおしKaii16くなるキャラクターなんですね。自己主張をあまりせず、『呑みに行く?』といわれれば『うん』と答えてしまい、素朴で人懐っこい性格は、こんな人いたなあと思わせてくれる、思い出させてくれる人物です。

1980年代のお話なのですが、20年後の現代にも繋がっていてそこが面白かったりします。20年前の出来事と同時に登場人物達の現在が挿話としてさしこまれ、世之介君の輪郭を埋めこんでいくと言う形がいいのでしょう。

 田舎から上京し、ワンルームマンションで戸惑いながらクラス1年間。単に皆に流されているだけのように見えて、流れを作ってるのは世之介君のほう。
 ふっと気が付くと世之介君の存在が大きくなっていると思ってしまう回りの皆。結局彼の存在を認め、再認識しているのです。なんだか酸素のような存在と私は思ってしまいました。

 恋愛も田舎にいた時に好きだった同級生のことを思い出しながらも、年上の片瀬千春に憧れ、東京湾の残土処理業者として成功した家のお嬢様祥子に惹かれていくところなどは少しハラハラします。

 何せ携帯もパソコンも無い時代なので、ジンワリ個々の距離感があるのが妙に懐かしいのです。私の学生時代がまさにそういう状況だったので頻繁に公衆電話を使うことが時々面倒になることもあったりして・・・だから友達より、自分のマンションの周Higashiyama_work24s りの住人と仲良くなれたりしたんだと思います、世之介君のように。

 彼は、損得や、成功するかどうかの値踏みをしない人です。とにかくそっちへ行き、飛び込んでみる、それが何なのか解った時、世之介君は、変わらないのに大人になっていったような感じがします。

 何て事のないというか、起伏の無い作品なのですが、読み終わったあと、無償に愛しくなる作品です。ここまで人を惹きつける要因は何なのでしょうね。

 時が経って思い出の風景の中で輝いている人がいたら、それが私にとっての横道世之介なのかもしれません。

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コメント

KOZOUさん、ご訪問、ありがとうございます。
この作品はどう表現すれば伝わるのか迷いました。宮本輝さんが酷評しているのも頷けます。ホントに最初は主体性の無い普通の田舎から上京した一学生としか思えないんですよね。でも20年後に回りにいた人も彼に何らかの影響を受けていたというのが、やはりただの飄々とした青年ではないことが解って愛くるしい存在としかいいようがないんです。私の中の横道世之介と思える存在の人物は今も私の中で輝いています。青春とともに行き続けるのでしょうね。KOZOUさんにはいませんか?あまりお勧めの本ではないかもしれません、さらっと流してください。KOZOUさんが世之介君のような人に
何らかの感化を与える存在だったのかもしれないと思えてなりません。飄々としたイメージはなく、存在感ありすぎかな(笑)。読んでくださってありがとうございました。

投稿: とこ | 2009年11月 4日 (水) 05時17分

こんにちわ。

吉田修一さんは芥川賞の「パーク・ライフ」ではやりの都会のしゃれた(つもり(^_^;))のお上品でクールな恋愛で、芥川賞の傾向を表したのでしょうけれど、こんなものなんだなーと思って読みました。彼は長崎出身ですよね。田舎者の都会趣味をよく表しているような(^_^;)選評で宮本輝さんが酷評しているのに同感したりして(^_^;)
悪口はここまでです。(^_^;)
『横道世之介』は読んでませんがまずタイトルが気に入ったですね。
西鶴の好色一代男が世之介ですよね。名前を聞いただけで肩の力をぬいた飄々とした人間が思い浮かびました。しかも「横道」ですから、こりゃおもしろそうですね。(*^_^*)
記事を読ませてもらってもほんとに面白い憎めないキャラのようですね。それでありながらいつしかリーダーシップをとる、たいしたものです。
吉田さんも新境地を開拓しているようですね。
エンターテインメントでもこれから活躍しそうですね。
この本もいつか機会があれば読みたいと思います。

投稿: KOZOU | 2009年11月 3日 (火) 17時00分

茶々君のご主人様、いつもいつもコメントありがとうございまます。私が勝手に茶々君に癒しを求めて訪問するのが癖になってしまった為にご主人様にまでこんな風に訪問していただけて返って申し訳ありません。でも嬉しいです。
 この主人公は最後には面白い展開が待っているし、何よりこれも人間愛ですかね。ご主人様の影響で幸せな気持ちになる本につい手がでてしまうようになりました。いいことだなって思ってます。
 ありがとうございました。

投稿: とこ | 2009年11月 2日 (月) 10時48分

そうですよね。
けっして目立つ存在や
強い影響力がなくとも
命に必要な空気のような存在であっても
冒頓に
風景になりえて自然な人
さわやかな存在感ってかっちょいい。

投稿: 茶々 | 2009年11月 2日 (月) 08時08分

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