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2009年11月 5日 (木)

私の大好きな映画~『私の中のあなた』

 『号泣するよ』ということだけで、他に先入観を持たずに観た久々の映画でした。映画にはポップコーンでしょなんて思っていたのですが、ポップコーンにAna001 は最後までほとんど口に出来ないほど、考えさせられた映画でした。

 11歳の少女アナは、白血病の姉に臓器を提供するドナーとして、遺伝子操作によってこの世に生まれた。母サラは愛する家族のためなら当然と信じ、アナはこれまで何度も姉の治療のために犠牲を強いられてきた。そんなある日、「もうケイトのために手術を受けるのは嫌。私の体は、自分で守りたい」と、アナは突然、両親を相手に訴訟を起こす。しかし、その決断にはある隠された理由があった…。
    

  アメリカの人気作家ジョディ・ピコーの同名小説を映画化ですが実際にあったお話らしいので驚きました。

 ケイトはずっと白血病で苦しみ、「もう手立てはないのか」と医者に詰め寄ります。家族の誰もドナーとして適合せず、新しい命を作ることでドナーとなりえることを知らされた母親は妹を産みました。姉ケイトと妹のアナは仲の良い姉妹。しかし、アナは白血病を患うケイトのドナーとなるために人工授精で生まれた女の子で、生まれてから何度も血や髄液などをとられ、その影響による感染症により入院も経験していましたが、姉のために当たり前のように役目を果たしてきました。愛する家族の為だと信じ・・・

 ところがある日突然、訴訟を起こすのです。私はまだ幼い妹が自Ana006 己主張したくなったのだ、自分も普通の人のように元気で何でもやりたいのだと、幼心で感じたのかと思っていました。ここではケイトのために最善を尽くそうとしている母親サリーの言い分のほうが最もだとも思っていたのですから。そこにある真実が隠れている事にも気付かず・・・

 でも家族は明るく、何事も無い普通の家庭より、深い愛情で結ばれて沢山のステキな写真を撮りました。それをケイトは愛しいまなざしで見、アルバムにしていきました。そして入院の際はいつもその写真を撫でていたのです。まだ17~18歳くらいのケイトの頭はすでに髪が抜け、「こんな私を皆じろじろ見るの。」と落胆するケイトにサリーは自分の長い髪をばりかんで剃り出しました。そして堂々と街へ繰り出すのです。また明るさが戻ったと思っていましたが、訴訟をおこしたアナと母親の対決が始まりました。

 「ケイトが死んでもいいの?」と詰め寄るサリー。窮地に立たされるアナ。そこでサリーは気付くのです。「他に何か隠しているんでしょ!」・・・傍聴していた兄がとうとう言ってしまうのです。

「ケイトが望んでる事なんだ!アナのせいじゃない!」

そう、ケイトは疲れ果てていました。もうこれ以上延命措置はしてほAna003 しくない、もう充分だと。だからアナに頼んだのです。もう手術はイヤだから、アナに拒否してほしいと、お願いしていたのです。

 ずっと姉の苦しみを目の当たりにしてきた兄弟姉妹たちは最初はケイトの話に戸惑ったけれど、幼いながら苦しむ姉を見て承諾するのです。子供にこんな選択が出来るだろうかと私は呆気にとられました。これは大きな問題です。日本ではこんな選択は出来ないでしょう。そして愛する我が子を1日でも長く生きさせたいと思う親の気持ちも当たり前だと思います。

 ケイトはステキな恋愛を同じ病気の男の子とし、それも支えになっていたのですが、二人が結ばれてすぐ、彼はこの世を去りました。ケイトは次第に衰退し、ある日海へ行きたいと言い出します。父親とアナたちは早速出かける用意をしますが、サラはまたもや猛反対。危険すぎると。でもあとから追いかけてきたサラとともにまた家族のふれあいが始まります。そこでケイトは最後の海だと覚悟したのでしょう。

 このストーリーの主役は誰なのだろうと考えると、おそらくドナーとしての運命を背負ったアナでしょう。姉を慕う純粋な少女が実は姉のために産まれてきたとはきっと知らされていなかったでしょうし、知っていたとしても、それは「あなたしか適合しないのよ」と言った表現ではなかったかと思います。でなければアナは救われないもの。Ana005 訴訟などという行為もアナには過酷だったでしょう。でもケイトのために約束を守った、それが安楽死させたと思われても。映画を見ていると本当にケイトの衰退は見ていられないほどで、これが現実ならもっと壮絶な病との戦いだったことがじーんと伝わってきました。キャメロン・ディアス扮するサラも主役なのかもしれません。

 親の視点で見ると、どう写るのか、観る人それぞれがどんな観かたをするか、私には計り知れませんでした。問題作と言われる意味も解りますが、死とどう向き合うかを深く考えされられました。観てよかったです。

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コメント

Say, you got a nice article.Thanks Again. Fantastic.

投稿: www.calabriatechnology.com | 2015年3月26日 (木) 10時58分

おりえさん、来てくださりありがとうございます。
是非、お勧めです。でもハンドタオルとティッシュを持参してください。じわじわ泣けていつの間にか涙が出、鼻がグズグズしだします。問題作と言われる所以、おりえさんなら解ると思います。その時はまた記事にしてくださいね。
 私はケイトの立場になって観てしまった気がします。病気がちの自分と重ねてしまって、濁った目でみていかもしれません。映画を観終わって友達とこの映画の話題になった時、はじめて、主役はアナとサリーじゃないかと言われふっと我に帰ったほどですから。いろんな観方が出来るのも面白いところなのでしょうね。
 ありがとうございました。

投稿: とこ | 2009年11月 6日 (金) 07時57分

 こんばんは!!!
 この作品は未見ですが、見たいと思いました。
 親の生きていて欲しいという願いは当然だと思いつつ、実際に治療を受けているケイトの疲れ果てる気持ちは病気の種類は違えと痛い程にわかります。
 どちらの気持ちもよくわかり、どちらも間違っていない。
 どういう選択をするかはその時の自分の立ち位置にもよるんでしょうが。
 以前は安楽死は反対だったのですが、過酷な苦しみに対しては理屈ではなく楽になるのもやはりありかなと思います。
 良い映画の紹介ありがとうございます。

投稿: おりえ | 2009年11月 6日 (金) 00時10分

KOZOUさん、ご訪問ありがとうございます。
それぞれの立場にたってみても辛いですね。ケイトはじきに亡くなり、それぞれその悲しみを乗り越えてこれこそみんなの中にケイトが生きていて、いろんな道を歩いていきます。みんなバラバラに暮らしながらも1年に1度はケイトが好きだった場所に集まって過ごすのです。まるでケイトがいた時と同じように。そんなラストでした。
 安楽死については私もKOZOUさんと同じ意見です。それがはっきり解った映画でした。あんなに苦しいならと考えてしまうのはそんなにいけないことでしょうか。患者の意思を尊重してあげたい、そう思いました。ホントですよね、どうにもならない運命ってあるのですね、悔しいけれど。
 ありがとうございました。

投稿: とこ | 2009年11月 5日 (木) 15時12分

茶々君のご主人様、棺桶リストなんて言わないで下さい、
淋しいです。
本当に医療の発達はいろんな可能性があるわけですが、そこにお金や愛情が絡んで問題になることも事実としてあるんですね。延命措置がもっと当事者が苦しまないで意識ある中で行われているのであればまだ希望が持てますし、そのための医療の発達なら歓迎なのですが。でも先日亡くなられた
南田洋子さんのように完全に意識を失ってしまい、ありがとうとかごめんねとか言えないで旅立つことはやはり悲しいですね。今を大切に生きるとは大事な事ですね。でも何時死んでも悔いがないようにと思って生きるのもやはり辛いですよ。
 なんだか切なくなっちゃいましたね、ごめんなさい。
 読んでくださりありがとうございました。永遠のテーマなのかもしれませんね。

投稿: とこ | 2009年11月 5日 (木) 14時55分

おはようございます。
今朝も寒いです。

これは全然知らなかったですね。
全部実話に基づいているのでしょうか。
ドナーにするため子供を産む、しかも人工授精で、日本人ならあまりしない発想のようですね。
しかしこのような考え方もありますね。
それほど両親はケイトを助けたかったのですね。
しかし姉のケイトの気持ちもよく分かりますね。
辛いでしょうね。
愛していればいるほど。
妹も真実を知ればたまらないでしょうね。
ケイトは最後なくなるのでしょうか。
安楽死難しい問題ではありますね。
わたしは肯定していますが現実の世界になると悪用したり色んな問題が出てくるようですね。
しかしケイトがそれほど衰弱しているのであれば、そして直る見込みのないものであれば。
過酷な運命、三橋さんもそうでしたが、どうしようもない運命、乗り越えるにはあまりにも大きな壁ですね。
人それぞれの苦闘になるしかないのでしょうか。

投稿: KOZOU | 2009年11月 5日 (木) 07時56分

難しい命の問題ですよね。価値観も人それぞれ
当事者と第三者でおおきくことなる問題。
命だけれど利害もからみ、人としての愛の大切さ
せつなさ、理不尽さ・・・

若い未来のある人への延命のための医療の価値と
自分のようにもうこれから貢献できない歳終えた者への
延命処置の意味を後期高齢者医療保健の問題で考えてしまいました。

高度医療が発達する以前には
虫歯だけでも命がなくなったかもしれないのでは
と思うと、自然な死を迎える自由って
医療が発達すれば、愛情とお金の問題にもなり
とっても難しいですね。

家族には、自分への延命処置は絶対いらないと
いってます。そのためにも今を大切にしないと
いけないと思っています。棺桶リストもかなり
実現したのでもういつでもOKです。

投稿: 茶々 | 2009年11月 5日 (木) 05時34分

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