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2009年12月30日 (水)

私の好きな画家~アルフォンス・ミュシャ

 1895年、大女優のサラ・ベルナールの正月公演『ジスモンダ』のポスターが元旦に貼り出されました。そのポスターは一大センセーションを巻き起こし、ミュシャはこれを機に、シェレ、ロートレック、グラッセなどと並ぶアール・ヌーヴォーの代表Jimonnda01 者となった作家です。

19世紀末のフランスは、普仏戦争やパリ・コミューンを経て、産業革命が進行し、都市は消費文化が栄えていました。デパートのボン・マルシェがオープンし、シャ・ノワールやムーラン・ルージュなどの娯楽場が相次いでオープンしました。女性たちはファッションに興味を持ち、サイクリングやスポーツ、レジャーが普及。鉄道の発達は国内外の旅行を容易にしていきました。そんな時代のお話です。

 ベル・エポック(よき時代)と呼ばれる時代を迎えていました。この時代は1900年のパリ万国博覧会を頂点として、1910年の第一次世界大戦勃発まで続きました。

 1900年パリ万国博でボスニア・ヘルツェゴビナのヴァイオリン装飾に関わりました。加えて1904年、スメタナ交響詩「わが祖国」を聞き、スラヴ抒情詩の制作を決意。

 ミュシャは1910年、チェコ(に帰国しました。50歳のときでした。長年温めてきた、『スラヴ叙事詩』の制作をするためでした。ミュシャの後年は第一次大戦、その後のチェコスロヴァキア独立。続くナチス・ドイツのチェコ併合と激動の時代となりました。

 『ジスモンダ』は劇作家ヴィクトリア・サルドゥ(第二帝政時代、フランス演劇界の第一人者)の原作で、サラ・ベルナールの最初のポスターといわれています。第三幕のクライマックス・シーン『ジスモンダ』が「棕櫚の日曜日(復活祭直前の日曜日)」の行列に加わるため、棕櫚の花を手にしています。当時としては、繊細なラインやビザンティン風の装飾がパリ市民には「啓示」のような印象を与えたといいます。

 『ジョブ』は、タバコ用葉巻ジョブの宣伝ポスターですが、数種のヴァージョン、カレンダー用の縮小ヴァージョンなどがあります。このポスターは後に、1960-70年代、「フラワー・ジェネレーション」に感化を与えました。ハシシを吸う若者たちの部屋にはこのポスターがあったそうです。

 パリでの初期苦闘時代、ミュシャは雑誌の挿絵によって生計を立てていましたが、次第に認められ、パリの大出版社、アルマン・コランの挿画家として活躍するようになりました。東洋的な情景をドラマチックに描き、高い評価を得た「白い象 の伝説」、Jobu00133点の木版画が挿入され、挿画家としての名声を高めた「ドイツ歴史の諸場面とエピソード」も、同社から出版された作品です。宗教的思想に裏付けられた文学的解釈、それを美へと昇華する芸術力。挿画本分野において、ミュシャは独自の、そして輝かしい業績を残しています。

 商業的に成功をおさめ、財政的な心配のなくなったミュシャは1910年、故国であるチェコに帰国し、20点の絵画から成る連作「スラブ叙事詩」を制作。この一連の作品はスラブ民族の歴史を描いたものです。スメタナの組曲『わが祖国』を聴いたことで、構想を抱いたといわれ、完成まで20年を要しています。また、この時期にはチェコ人の愛国心を喚起する多くの作品群やプラハ市庁舎のホール装飾等を手がけています。1918年にハプスブルク家が支配するオーストリア帝国が崩壊し、チェコスロバキア共和国が成立すると、新国家のために紙幣や切手、国章などのデザインを行いました。財政難の新しい共和国のためにデザインは無報酬で請け負ったといいます。

 ミュシャの挿絵やイラストが、明治時代の文学雑誌『明星』において、挿絵を担当した藤島武二により盛んに模倣されました。ミュシャの有力コレクションの一つは日本にあります。堺市が所有し、堺市立文化館アルフォンス・ミュシャ館で一部が展示されている「ドイ・コレクション」です。「カメラのドイ」の創業者である土居君雄氏が、ミュシャの知名度がさほど無かった頃から個人的に気に入り、本業の商品の買い付けや商談の為に渡欧する度に買い集めました。また、ミュシャ子息のジリ・ミュシャとも親交を結び、彼の仲介によってコレクションの中核が築かれました。1989年には、土居氏にチェコ文化交流最高勲章が授与されています。土居氏が1990年に他界すると遺族は、コレクションが散逸してしまうのを憂慮して「相続放棄 すなわち自治体に寄贈」という方法を選択しました。1993年、土居夫妻が新婚時代に居住したことのある堺市に寄贈されたようです。

 私は彼の描く女性の表情がとても好きです。商業的でも単なる金儲けで描ける絵ではないと思います。儚い女性も大好きですが、のびのびとした輝く女性の姿も美しいと思います。ちなみに『オレンジの壺』の挿入画も彼の有名な絵の一枚です。

 今年もお世話になりました。コメントを下さった皆さん、本当にお付き合い願えてありがとうございました。来年が良い年になりますように・・・

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

Very good post.Thanks Again. Much obliged.

投稿: tit wank | 2016年7月 8日 (金) 20時17分

投稿: air max 1 ultra moire | 2015年3月17日 (火) 07時13分

私の好きな画家~アルフォンス・ミュシャ : ぶんげいたんさく

投稿: Air Jordan 6 Champagne | 2014年6月25日 (水) 22時28分

 Marunagaさん、こんにちわ。
こちらこそ、いろんな本を紹介していただき、ありがとうございました。Marunagaさんの素直な心情が語られていて、本当に純粋な方だといつも関心しています。道をそれたり、立ちすくんだりしても、必ず救いがあると私は信じていますので、本を読んだり、人と会話することは絶対プラスになることを信じ、マイペースで邁進しましょうね。私もこの1年、学習することがたくさんありました。皆さんと知り合えたからこそだと思って感謝しています。来年も宜しくお願いします。良いお年を。

投稿: とこ | 2009年12月31日 (木) 12時57分

茶々君のご主人様、こちらこそ、お世話になりました。茶々君のお顔とご主人様の言霊で自分を奮い立たせることが出来たののだと思います。この1年で何かが大きく変わった、そう思います。仲間が出来たこと、心強いですね。最初は突っ張っていましたが、ホント、根は鈍臭く、お茶目ですので、気軽に遊びにいらしてください。でもご主人様の的確なコメントも深く心にしみています。
 来年も世界平和のために、ごみ拾いでもいいからやっていけたらと思います。いつもコメントをくださり、本当に感謝しております。ありがとうございました。

投稿: とこ | 2009年12月31日 (木) 12時22分

KOZOUさん、こんにちわ。夕べまた眠れなくて、急遽ブログを書きました。こんなに沢山のコメントをいただけるなんて驚いています。一重にミュシャの絵のお陰ですが、こんなに多く、絵の美しさに惹きつけられていたとは思ってもいませんでした。KOZOUさん好みで行っちゃおうなんて、不謹慎な事情で書いたことに反省させられました。ミュシャは好きでしたが、装飾性が多くていかにもポスター画と思われるもではないかと敬遠していましたが、美しいものは美しいのだと改めて感じました。こちらのほうが勉強させられた思いです。そしてみなさんの優しさに支えられていた事を痛感しました。なかでも毎回のKOZOUさんのコメントのにはどんなにか勇気づけられたことでしょう。あの時、やめなくて本当によかったです。
 来年は、KOZOUさんにあまり迷惑かけないようにしなくてはいけないと思いつつ、心のどこかで頼り切ってる自分がいます。またいろいろ勉強させてください。
 本当にお世話になり、ありがとうございました。良いお年を。
 

投稿: とこ | 2009年12月31日 (木) 12時09分

 おりえさん、こんにちわ!!!
まさかまさかのコメントの多さに今驚いています。こんなの初めてで!!
ミュシャの絵はあまりに多く見られているので、紹介すべきか最後まで悩んだものでしたが、のせてよかったです。こんなに優美な絵がポスターだったとは、洒落ていますよね。

 これからも色んな絵画探していこうと思います、その時はまたご意見聞かせてくださいね。最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。来年もお互い触発しあえるといいですね。良いお年をお迎えください。

投稿: とこ | 2009年12月31日 (木) 11時42分

アリファティックさん、はじめまして。来て下さって感激です。KOZOUさんのブログで、よくコメントを拝見しておりました。真面目な方だと勝手に解釈しておりましたが、本当に真面目で色んな事に精通してらっしゃるのですね。
 ミュシャの絵は、昔の文学雑誌の表紙で初めて眼にし、それ以来虜です。本当に躍動感や表情がいいですよね。
 これからも素敵な画家を発掘したいと思いますので、またいらしてくださいね。 ありがとうございました。良いお年をお迎えください。

投稿: とこ | 2009年12月31日 (木) 11時27分

今年一年ありがとうございました。
年末はなかなか時間がなく、書く事が出来ていませんでしたが、来年は、もっと書いていく予定です!

勝手ながらも、とこさんの心の優しさにいつも支えられています。
こうして出会えた事に感謝します。

ありがとうございました。

投稿: Marunaga | 2009年12月31日 (木) 08時55分

一目で作者がわかる特徴をもった作品を
つくりだせることはすごいことだとおもいます。
とこさまのブログもそうだとおもいます。
今年は大変お世話になりました。

いつもレベルが高いので、おちゃのみ話で
コメント欄を汚しておりますが、来年もよろしく
お願いいたします。おちゃめな一面を披露していただき
つよく感謝しております。
茶々もとっても感謝する~~~!って
先ほど雄たけびをあげておりました。
ひとつ
来年もよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

投稿: 茶々 | 2009年12月31日 (木) 07時25分

あ、こちらこそ今年は大変お世話になりました。
色々ご迷惑もおかけしたと思いますがすみませんでした。
どうかいいお年を。来年もよろしくお願いします。

投稿: KOZOU | 2009年12月31日 (木) 04時55分

おはようございます。
風が強いです。正月は荒れそうですね。

お~~アリファティックさんが見えていますね。
どうかよろしくです(*^_^*)
ミシャ、絵はよく見て好きなのですが生涯はほとんど知りませんでした。
チェコなのですね。わが祖国は大好きです。滔々と流れるモルダウ、哀史の多いチェコによく似合っていますね。チェコを愛したミシャさんをますます好きになりました。
ほんとに皆さん書かれていますように華麗で繊細、そして生命観あふれるいい絵ですよね。
これほどのものが19世紀に書かれていたのだから現代はほとんどそのバリエーションのような気がします。今見ても本当に華麗ですね。

とこさん、いつも読んでいただきコメント大変ありがとうございます。レスを書いていますのでいつかご覧になってください。
最後まで暗めですみません。向き合っていただいてありがとうございました。「美学」は貫徹してこそ美学、並みの男にはそれは難しいものです。美学に憧れ老いていくのが大半の男です(^_^;)

投稿: KOZOU | 2009年12月31日 (木) 04時51分

 とこさん、こんばんは!!!
 この方の絵はよく見かけますね。優美さと繊細を掛け合わしたような女性が好きです。
 いつもとこさんには私の知らない画家や作品を紹介して頂き、自分の持つ引き出しが増えました。
 これからも記事を楽しみにしております。
 良いお年を!!!

投稿: おりえ | 2009年12月31日 (木) 01時23分

初めまして。
KOZOUさんのブログからおうかがいしました。
ミュシャの作品は私も大好きです。
儚さと妖艶さそして生命の彩りが静寂のタッチの中から
内なる躍動感を浮かび上がらせてくるようで、
いつまでも見ていたい世界です。

投稿: アリファティック | 2009年12月31日 (木) 00時42分

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