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2010年1月11日 (月)

涙が止まらない映画『ひまわり』

 もう40年も前になるのですね。当時、ソフェア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが主役の映画は目白押しでしたね。
中でも今でも愛されている映画とそのバックグランドミュージックは、忘れることが出来ません。

 貧しいお針子のジョバンナ(S・ローレン)と電気技師のアントニオ(M・マストロヤンニ)は、ベスビアス火山をあおぐ、美しいナポリの海岸で出逢い、恋におちた。

 だが、その二人の上に、第二次大戦の暗い影がおちはじめた。

ナポリで結婚式をあげた二人は、新婚旅行の計画を立てたが、アントニオの徴兵日まで、一四日間しか残されていなかった。
 

 思いあまった末、アントニオは精神病を装い、徴兵を逃れようとしたが、夢破ぶられ、そのために、酷寒のソ連戦線に送られてしまった。
 

 前線では、ソ連の厳寒の中で、イタリア兵が次々と倒れていった。アントニオも死の一歩手前までいったが、ソ連娘マーシャに助けられた。

 年月は過ぎ、一人イタリアに残され、アントニオの母と淋しく暮していたジョバンナのもとへ、夫の行方不明という、通知が届いた。これを信じきれない彼女は、最後にアントニオに会ったという復員兵の話を聞き、ソ連へ出かける決意を固めるのだった。
 

 異国の地モスクワにおりたった彼女は、襲ってくる不安にもめげす、アントニオを探しつづけた。そして何日目かに、彼女は、モスクワ郊外の住宅地で、一人の清楚な女性に声をかけた。この女性こそ今はアントニオと結婚し、子供までもうけたマーシャであった。
 

 すべてを察したジョバンナは、引き裂かれるような衝撃を受けて、よろめく足どりのまま、ひとり駅へ向った。逃げるように汽車にとびのった彼女だったが、それを務めから戻ったアントニオが見てしまった。

 ミラノに戻ったジョバンナは、傷心の幾月かを過したが、ある嵐の夜、アントニオから電話を受けた。彼もあの日以後、落ち着きを失った生活の中で、苦しみぬき、今マーシャのはからいでイタリアにやってきたとのことだった。
 

 迷ったあげく、二人はついに再会した。しかし、二人の感情のすれ違いは、どうしようもなかった。そして、ジョバンナに、現在の夫エトレの話と、二人の間に出来た赤ん坊を見せられた。
 アントニオは、別離の時が来たことを知るのだった。

 翌日、モスクワ行の汽車にのるアントニオを、ジョバンナは見送りに来た。万感の思いを胸に去って行く彼を見おくるこのホームは、何年か前に、やはり彼女が戦場へおもむく若き夫を見送った、そのホームだった。(goo映画より)

 ジョバンナがどんな思いで彼の帰りを待っていたかを思うと、もう胸が締め付けられます。

 モスクワまで出かけていった時も、「ここには生きたイタリア人は一人も居ませんよ」と止められますが、それでもジョバンナは一枚の写真を手に探し続けました。その胸中は計り知れません。
 ロシアの担当高官に案内された地は、見渡す限りのひまわり。その木、一本一本の下に雪の中で死んでいったイタリア兵、ロシア兵たちが無数に眠っているのだといいいます。明るさの象徴のようなひまわりが、悲しく見えてしまいます。

 事実を知って失意で岐路する場面・・・ヘンリー・マンシーニの音楽が流れるとそれだけでぐっと来てしまいます。夫とロシアの駅で再会するシーンでアントニオの顔を瞬間的にアップし、ジョバンナが汽車に飛び乗るシーンは思わず号泣していまいました。駅に行くまでの二人を写す緊迫したシーンは素晴らしい演出です。

 アントニオがミラノに訪ねてくるシーンでは別れる決意をしながらも、抱き合って愛を確かめ合っているように思えました。

 駅で別れるシーンの列車に乗ったアントニオの切なそうな顔の捉えかたがたまりません。ロシアの大地に広がるひまわり畑はただ悲しく揺れるだけ。かえってあの眩しさが切なさを助長しているかのように見えます。
 
 戦争が引き裂いた愛。

 時が引き裂いた愛。

これがこの映画の主軸であり、戦争がいかに悲惨な結末しかもたらせない事を物語っています。
 
 ラストシーンの悲しいアントニオの目と、ジョバンナの強く美しく、しかし悲しみに耐えた年月に曇ったような瞳を見てここでも思わず涙ぐんでしまいます。そしてまたラストはどこまでも続くひまわり。

 あんなに愛し合った二人が、別々の道を歩むことになる、お互いの家族のためなのでしょうが、虚しさが残ります。

どこの国でも戦争で残された妻や子供がいます。そしてこのような不幸な愛の形があるのでしょう。痛ましいことです。

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コメント

アウトレット ラルフローレン

投稿: ラルフローレンジャパン | 2013年10月29日 (火) 16時30分

私はラテン音楽を歌っておりますが、レパートリーに「ひまわり」を入れたいのですが、この音楽のスペイン語の歌詞を探しております。もし、知っていらっしゃいましたら、上記のメールアドレスまで、ご連絡をお願い致します。

投稿: ヒサエ | 2013年9月23日 (月) 19時41分

「ひまわり」の情景は大分前にテレビのドキュメンタリーで知った日本人男性のことと非常に重なるところがあります。現在でもご健在だと思います。確か、岡山県出身の方で戦後ロシアにとどまることを余儀なくされた兵士で現地の若いロシア女性と結婚し長い間異国で生活されました。出征時、既に結婚されていて、その日本人女性が一人で夫の帰国を長い間待っていましたが音沙汰が何十年もありませんでした。しかし数十年後にある機会が突然訪れ、日本に帰国することが出来ました。そのとき年老いた現地妻は喜んで夫が日本に帰り本当の妻と生活すること後押ししてくれました。現地のバス停まで見送るロシア人妻の気持ちと日本で何十年も待っている妻のことを考えるとわたしはテレビを見ていて涙が止まりませんでした。その後、二人の妻が放送局のはからいで日本で始めて会うというシーンもありました(実際の映像)。
現地の情景は本人の話をもとにした再現映像でしたが、まさに「事実は小説より奇なり」だと思いました

投稿: kon | 2010年5月24日 (月) 23時13分

KOZOUさん、こんにちわ!!
そうなのでしょうね。情にほだされやすい男性にとって介抱してくれた彼女に惚れたとかという以外の感情が交差していたのかもしれませんね。ん~女には辛いなあ~女は一人の人しか見えなくなっちゃいますからね。若い方で男性を使い分けてる器用なひともいるようですが、私に言わせりゃナンセンスですね(な、な、なんと辛辣なことを!!)。
 でもマーシャのような女性も好きです。やはり一途で最後は
イタリア行きを実行させた、同じ女性としてジョバンニのことは気にかけていたのですね。やっぱり、いい!!
 私も動画を探しますね。
 わざわざありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年1月20日 (水) 10時55分

おはようございます。
最近暖かくていいですね。

昨日は急いでいたものでもう一度(^_^;)
あのあと動画をいくつか見て思い出にひたっていました(^_^;)
ロシアの妻もほんとにいいですね。チャップリンが好きでしたから娘も好きでした。
瀕死の彼をこれ以上なく親切に介抱し命を助けた、マストロヤンニも情をほだされるのは当然のような気もしますね。
男は待つことがあまりできない人種なのですね。恋人を待って何十年とかいうのに男がというのは聞いたことないですね(^_^;)
待つこと、耐えることも強さ、やはり女性が真に強いのでしょうね。
誰も悪人はいないのがかえって切なく悲しみを増しますね。
最後の別れのシーンの名演技は書かれていますようにほんとにすばらしいですね。
映画史に残る名シーンですね。
いやー、昔の映画はよかったー(^_^;)
触発され今度は「草原の輝き」を記事にしたいと思っています。

投稿: KOZOU | 2010年1月20日 (水) 08時00分

復活不死身の鉄腕アトムのとこさま
おかえりなさいませ。
良かった~~~の
思いにつきますね。
心配して寝不足になりました!

(うそでした・・)

風邪ほんと気をつけてくださいね。
乾布まさつ最初いたいですが
これ効果がありますよ。
でも
もっともいいのが、規則正しい生活ですよね。
むつかしいお仕事なので
できないかもしれませんが、
工夫したらできるかもですよ。

いや~~
今日はじつにうれしい!!!

鉄腕であっても
あついハートは人間なんだから
無理しないでくださいね。

幸せを感じる連絡
ありがとうございました。


投稿: 茶々 | 2010年1月19日 (火) 09時08分

KOZOUさん、おはようございます。
鼻がジュルジュルして息苦しい~ですが不死身のとこです!
3本の指に入りますかあ~。嬉しいです。
また劇場で大きなスクリーンで観るのが夢ですね。
このお二人の出た作品はよく観てましたが、S.ローレンのきりっとした顔がこんなに悲しげに観えたのは『ひまわり』だけだった気がします。
 お母様は恋人を戦争で?悲劇です。悲劇しか生まれない戦争の傷跡はいつまでも残るのですね。ぶつけようも無い怒りを感じます。ご冥福をお祈りします。
 ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年1月19日 (火) 07時09分

おはようございます。
ちょっとご無沙汰していてすみませんでした。
風邪大丈夫ですか。
今おおいですね。どうかお大事にです。

「ひまわり」洋画では生涯3本の指にいる好きな映画です。ロシアの広大な大地に一面に咲くひまわり、そして今動画で見せてもらいましたが、哀切な別れのシーン、またとてもいいテーマ曲、まじまじと思い出します。
イタリア映画、いいのがたくさんあったですね。
ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、風格のあるとてもいい俳優ですね。とても懐かしいです。
書かれていますように本当に戦争が引き裂いた愛ですね。
静かな反戦映画だとも思っています。
スイーツマンさんが書かれているように、確かに日本でもこのような悲劇はたくさんあったでしょうね。
戦争は人が死ぬだけではない、人生を根本的に変える大きな影響を与え、それは孫子の代まで影響する、戦争で恋人を亡くした母を思うと本当に戦争、それを起こす権力を憎みます。

とにかく映像、音楽、演技、最高の作品でしたね。

投稿: KOZOU | 2010年1月19日 (火) 06時18分

狼皮のスイーツマンさん、こちらこそ、変なところに書いてしまったようで、すみません。KOZOUさんのブログで何度もコメントを読ませていただいていて、時々お邪魔させて頂いていたのですが、コメントというほどのことが書けなくて読み逃げしてました(汗)。今度はちゃんとご挨拶しますね。
 わざわざありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年1月19日 (火) 04時38分

megumiさん、はじめまして。よくいらしてくださいました。ありがたいです。
 私も一人の人を愛し続けたいので、何故別の人と一緒になったのか、悩みました。でも戦場で傷ついた身も心も癒してくれる女性がそばにいたら心って揺らいでしまうのかもしれない、愛する人のことは離れていることで忘れてしまう瞬間があるのかなとそんなことを考える自分が嫌ですが・・・
 嫌いになって別れるのではないだけに、いたたまれませんね。
 今度訪問させてください、ガールズトークが出来そうで、嬉しいです。ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年1月19日 (火) 04時26分

アリファティックさん、お返事遅れてもうしわけありませんでした。風邪をこじらせてしまって、ブログとはご無沙汰してました。理屈抜きで人を惹きつける力を持った俳優・・・今は思い当たりませんね。哀しいことです。
 本当にそうですね。科学が進歩しても人は一概に幸せになれたとは言い切れませんね。でも進歩し続けていますね。
 もう争いはこりごりのはずなのに、いつもどこかで闘って、哀しい思いをしているかと思うとなきたくなります。
 ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年1月19日 (火) 04時10分

 当時はどこにでもあった物語だと
 しごく当然のことのように老人たちはいいます。
 恐ろしげなことですよね。


 年の初めのご挨拶、ありがとうございます。
 昨今、来訪者がコメントしなくなった場所でしたので油断しておりました。遅ればせながらご挨拶にうかがったしだい。平にご容赦を。

投稿: 狼皮のスイーツマン | 2010年1月17日 (日) 13時16分

せつなすぎます。

どうして、彼は彼女の元に帰ってきてくれなかったのでしょうか

一人の人を信じて愛し続けるって事はなかなか出来ない
のでしょうか?

どこにあるんだ~真実の恋!!
探し続けます。。。。

投稿: megumi | 2010年1月16日 (土) 22時23分

ソフィアローレンに、マルチェロマストロヤンニ。懐かしくそして栄光に満ちたハリウッド時代の俳優ですね。
理屈抜きで人を惹きつける力を持った俳優が今はいるでしょうか。
戦争が科学を進歩させることは事実ですが、決して人を幸せにはしてくれません。
征服した者は、征服された者の憎しみを買い、いつかその恨み晴らす対象とされます。
そして、家族や恋人も同じ。
容赦なく引き裂かれ、無慈悲に殺され。
生きていたとしても、帰国できずに取り残されたりして夢も
愛する者も全てを忘れようと苦悩します。
そんな時代がまた来ないことを祈ります。

投稿: アリファティック | 2010年1月13日 (水) 19時55分

茶々君のご主人様、こんばんわ。
今日は訪問できなくてごめんなさい。
淀川長治さん、懐かしい~。
そうでしたね
当時は2時間ドラマがなくて、
週の半分のゴールデンタイムは
映画でしたよね。
映画音楽のレコードも集めて・・・
やっぱり哀愁がありましたね。
子供の頃「大魔神」というのがあって
無償に怖かった、苦い思い出もありますが(笑)
これからはJ・COMなのでもっと
観られるようになり、嬉しいですね。
ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年1月11日 (月) 21時53分

こんばんは~
ソフィアローレンさんの「ひまわり」ですね。このころの
映画音楽なんともいえない味がありますよね。
あれから40年ですか、確かカルピスの景品のソノシートがあたったんです。映画音楽特集でした、旅情、影に日向に、007・・・すべて淀川長治さんの説明があったような
記憶では中学2年?高校?すごく新鮮でしたよ。
戦争で引き裂かれた愛
今の人にはわからないのでしょうね。

投稿: 茶々 | 2010年1月11日 (月) 17時55分

おりえさん、いつもありがとうございます。
私もアントニオが恩のある人とはいえ、違う女性と一緒になったことはショックでした。ジョバンニが可愛そうで、仕方ありません。
そうですね、長い年月がなければ、二人は愛をまっとうしたでかもしれない、そう思うとまた涙が出ますね。
もう音楽聴くだけでウルウルしてしまう不朽の名作ですね。

投稿: とこ | 2010年1月11日 (月) 12時42分

 おはようございます。
 見ましたよ、これ。若い時に見たのですが胸が締め付けられました。
 個人的にアントニオが好きになれなかったですね。。。記憶を失ったわけではなく、妻がいながら別の女性と家庭をもった彼の心持が理解出来ませんでした。勿論戦争というものがいけないんでしょうけど、でもやっぱりジョバンナの悲しみを思うとやるせないですね。

 どんなに愛し合っていてもどうしようもない事ってあるもんです。多分もっと2人が若ければそれぞれの家庭を捨てでも一緒になったのかもしれませんが。
 ひまわりがキレイでした。悲しいだけに余計にキレイでした。
 本当に良い映画でした。

投稿: おりえ | 2010年1月11日 (月) 11時02分

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