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2010年3月 6日 (土)

光の演出~クロード・モネ

 1840年フランス生まれの、印象派を代表する画家。『印象派、日の出』を発表し“光の画家”と呼ばれ、時間や季節とともに移りゆく光と色彩の変化を生涯にわたって追求した画家、モネ。幼少時より絵を描きはじめ、1860年頃、パリのアカデミー・シュイスにし、“光の画家”の異名通り、彼は同じモチーフを異なった時間、異なった光線の下で描いた連作を数多く制作しました。『積みわら』『ポプラ並木』などがそれ で、その中でも最も知られるのが『睡蓮』でしょう。

 1873年、32歳の時印象派画家たちが最初に開いた展覧会に『印象・日の出』を出品しました。批評家のルイ・ルロワが、展覧会の作品を批判するために、皮肉って「印象派たちの展覧会」という記事を書いたそうです。これが「印象派」という言葉の始まりです。実はモネ自身も、これは未完成だと考えて「印象」という言葉を付けたらしいのです。

  38歳、『死の床のカミーユ』を出品。この作品に対するモネの言葉が残っていました。「あれほどいとおしかった人の死の床で、色の変化を機械的に写している自分に気付いた。色彩の衝撃によって手が勝手に動き出した。」モネの色彩への執念を感じる言葉です。

 モネがジヴェルニーに移り住んだのは、42歳のとき。ここでモネ一家とアリス一家が一緒に暮らすことになります。モネは、パリから郊外へ向う車窓からピンクの家を発見し、周りの景色とその家が気に入ったため、即、購入したそうです。
  家はお気に入りの色に塗り替え、花の庭を造った。後に、道路を挟んだ向いの土地を購入し、川から水をひく大工事を行って池の庭を造りました。
 池の庭はモネが想像した日本の庭で、モネは日本好きで、浮世絵のコレクションも相当なものがあります。
 ところで、ジヴェルニーはとても小さな村で、当時のご近所さんはモネをあまり温かくは迎えてくれなかったようでした。なにせ、突然移り住んで来て、池を出現させたり、何日も何時間も積み藁の前で何やらやっているのだから。

 モネはとにかく花が大好きで数人の庭師を雇い、細かく注文をつけていました。睡蓮は、当初はただ観賞用に育てられてましが、ある時から絵の題材としてモネをトリコにしました。57歳の時、『睡蓮』を多量に描き始めます。まるでとりつかれたように・・・

 カミーユとモネが知り合ったのは1866年ごろだと言われています。モネより6つ年下で、多くの作品にモデルとして描かれています。1867年、モネ26歳、カミーユ20歳のころに第一子ジャンが誕生。それから3年後に二人は正式に結婚します。一家は上流社会のような生活をしようとするために貧乏生活が続きました。けれどカミーユはゆったりした幸せそうな雰囲気で描かれつづけました。

 生涯において、技巧にあまり変化がなく、批評家ポール・ジャモに、「シスレーはモネに伝授された技法が一旦身につくと、自然を描く二流詩人以上にはなろうとしなかった。」とけなされています。けれど、シスレーは自然を素直に受け入れ、印象派の基本である美しい風景画をたくさん残しています。そして印象派の時代を良き結う憂い何時の友人でした。

 そういう仲間も老いとともにそれぞれに歩み出します。それが モネにとっては『睡蓮』の連作になったのだと思います。
 混合させない絵具で、細く小さな筆勢によって絵具本来の質感を生かした描写技法によって自然界の光と大気との密接な関係性や、水面に反射する光の推移、気候・天候・時間など外的条件によって様々に変化してゆく自然的要素を巧みに表現した作品を手がけました。

 1910年代初頭に白内障を患い、一時的に作品制作の意欲が著しく衰えるも手術で回復、最晩年には最後の大作『睡蓮』の大壁画を手がけました。1883年から借家で住み始め、1890年には買い取ったジュヴェルニーの自宅兼アトリエで1926年12月6日に死去されました。

享年86歳。最後まで良い意味での印象派の作家だったと思います。

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

KOPZOUさん、こんばんわ。気付かなくてごめんなさい。

KOZOUさんは、やや苦手な画家ではないかと思っていました。いつも紹介してくださる絵はこの上なく孤独な絵が多かったので。。。でも睡蓮の連作を書いていた頃は晩年にもさしかかり、だんだん変わっていくのがモネの心の現れのようで睡蓮はかなり見入ってしまいました。裕福ではあったけれど心身は衰退していったのでしょうね、そんな風に思いました。

 本当に光の使い方は素晴らしいですね。私たちが何気なく触れている光と影をこんなに巧妙に描けるのはやはり、素晴らしいしでしょうね。

>画家熊谷守一さんが子供の亡きがらを思わず画いていてそれに気づき愕然としたという話を思い出します。画家も作家も描くことはほんとに業としか言いようのないものがあるのですね。
本当にそうですね。思わず筆を握ってる、サガなのかもしれないとさえ思います。
 長い時間見ていただいて、ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年3月13日 (土) 22時22分

こんばんわ。
寒いですね。

動画じっくり見せていただきました。
知らない絵がたくさんありやはりとてもいいですね。
柔らかい光で優しい光ですね。
書かれていますように穏やかな人柄で幸せな生涯だったのでしょうね。
ゴッホのような強烈な色彩ではなく原色でも心のパレットがそれを柔らかく混ぜているようですね。
カミーユのことは知らなかったのですが「色彩の衝撃によって手が勝手に動き出した」これはわかるような気がしますね。
やはり天性の画家なのですね。
画家熊谷守一さんが子供の亡きがらを思わず画いていてそれに気づき愕然としたという話を思い出します。画家も作家も描くことはほんとに業としか言いようのないものがあるのですね。

投稿: KOZOU | 2010年3月 9日 (火) 23時04分

おりえさん、おはようございます。
印象派、お好きでしたか、よかった!!!
人物はあまり書かない方でしたが、妻と子の姿は折しにつけ描いていて、それがまた際立っていましたね。
晩年の睡蓮はどれを観ても違う趣きがあって、でもやはり病との葛藤もあってか暗い印象の睡蓮もあり、それも隙です。
 穏やかな人だったことが絵に表れていますね。光の使い方が群を抜いています。
本当に印象派の人たちは幸福と言える晩年を送ったのだと思います。後期印象派になるとゴッホとかゴヤとか癖のある画家が誕生しますが、消して幸福とは縁の遠い存在でしたからね。
 動画があったら、ルノアールもアップした色思っています。

「やわらかい光の洪水」。。。いい言葉ですね。

 ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年3月 9日 (火) 05時04分

  とこさん、こんばんは!!!
おお!!!モネさんですね。好きな画家です。やわらかい光の洪水というのか、元々印象派の絵は好きですね。
 やはり見ていて気持ちが良いです、明るくなるし。本物も何点か見ましたがやはり素晴らしかったです。

 ルノワールが人物画にその才能を発揮したとしたらモネさんは風景画ですね。光と色のハーモニーがお見事です。

 死の床のカミーユの絵を画集で見ましたが、残酷なまでに描ききっているのは根っからの作り手なのだろうと思います。それも才能と呼べる資質なんでしょうが、身内はつらいだろうなと思います。
 モネさんはカミーユの作品を幾つか残してますがどれも愛情を感じさせる絵ですね。

>>最後まで良い意味での印象派の作家だったと思います。

これは同感です。
 ふと思ったのですが比較的に印象派の人達は幸福な晩年ですね。

投稿: おりえ | 2010年3月 9日 (火) 01時06分

しのぶさん、こんばんわ。
返事が遅れてすみません。一寝入りしてしまいました。
10分近く絵画鑑賞させてしまってすみません。
本当は睡蓮の絵ばかり集めその変化を見ていただくつもりだったのですが、ちょっとした番狂わせがあって。

しのぶさんの言うように、常に絵は変化していますね。
最初の絵「日の出」は何処が良いのかよくわかりませんでした(笑)。でも蓮の絵はいいですね。
何枚も何枚も描いていますが、吸い込まれます。
筆が勝手に走る、このあたりは小説を書くしのぶさんにはよく解るでしょうね。
私はそういう才能を持った人が羨ましい。。。勿論、努力も才能のうちだと思いますが。
ほんとうに花が好きだったのですね。そして妻と子供も。
 消して裕福とはいえない時代もあったと思いますが、他の画家から観れば羨む限りの生活でしたね。
殆どの画家は亡くなって価値が出ることが多いですからね。

でも観てくださって、ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年3月 6日 (土) 23時35分

 こんにちは。
 他の画家も多様にそうですが、芸術家というのは同じ手法を繰り返しません。
 職人が寸分違わず同じものを作る技術の持ち主なら、芸術家は高みを目指す創造家です。
 モネは同じモチーフの絵を繰り返し書きますが、同じ手法で書かれた絵は存在せず、常に新たな技術改革をしています。
 素晴らしい画家です。
 蓮にとらわれたというところも、とても興味深いですよね。
 ともあれ、とてもやわらかい絵を書く画家ですし、似たような絵の画家がほかに存在しないという意味でも、優れた芸術家だったのでしょう。

投稿: 酒井しのぶ | 2010年3月 6日 (土) 13時57分

茶々君のご主人様、おはようございます。
いつもありがとうございます、それと動画が長くてすみませんでした。凄く良く出来た動画を見つけたので記事を書いたのに、いざ、その動画をコピーしようと思ったら出来ませんと。。。この動画は本当に初期の作品から並べてあるので、好きな方にはいいかもしれないのですが、9分はさすがの私も飽きました(笑)。
 印象派の画家は心のゆとりが絵に表れいますね。
本当にこのような作品を残せる人生ってあこがれますね。
 ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年3月 6日 (土) 10時25分

小学校、中学校などには画集で
良く見た画家さんの一人でした。
どういう生い立ちの人なのか教えて
戴きました。それに、多くの作品に出合って
さすがだな~って思いました。

心に余裕があって、人生を楽しんだ人
だからこそ、この味がだせれるのですね。

なんだか、作品と画家との因果関係を
感じましたよ

このような作品を残せる
人生ってあこがれますね。

ありがとうございます。

投稿: 茶々 | 2010年3月 6日 (土) 08時18分

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