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2010年5月 9日 (日)

妖艶なまでに美しく『エゴン・シーレ』

     『ぼくは思う。"現代的な"芸術などありはしない。
      在るのはただ一つの芸術、永遠に続く芸術だけである』

 鋭い言葉を残したエゴン・シーレ。

当時盛んであったグスタフ・クリムトらのウィーン分離派、象徴派、スカー・ココシュカに代表される表現主義のいずれにも属さず、独自の芸術を追求した画家でした。

 1906年、ウィーン美術アカデミーに入学し、アカデミックな美術教育を受けます。翌1907年にはクリムトと知り合っています。美術アカデミーの保守的な教育方針はシーレの肌に合わず1909年、仲間たちとともに退学。1911年、それまでクリムトのモデルを務めていた、ヴァリ・ノイツェルという当時十代の女性をクリムトから紹介されました。ヴァリという女性はその素性が不明なのですが、1911年からほぼ4年間にわたりシーレと同棲生活を送り、『死と少女』をはじめとする多くの作品のモデルとなっています。

 クリムトに大Egonsireきな影響えお及ぼされたと思われがちですか、かく言うクリムトもシーレには大きな影響を受けていたに違いありません。

 エゴン・シーレを外から知るには、シーレの舞台となったウィーン がヨーロッパ第4の大都市であり、オーストリア=ハンガリー二重帝国が残響していたこと、『性の科学』と『性の文学』の分離運動の嵐がふきまくっていたことを忘れてはいけないのでしょう。

 シーレは28歳年長の画家クリムトとは師弟というよりは生涯を通じた友人という関係にありました。エロスが作品の重要な要素になっている点はシーレとクリムトに共通していますが、作風の面では両者はむしろ対照的と言えるでしょう。

 世紀末の妖しい美をたたえた女性像を描き、金色を多用した装飾的な画面を創造したクリムトは「表現対象としての自分自身には興味がない」として自画像をほとんど残しませんでした。

 これに対して、シーレの関心はどこまでも自分の内部へと向かい、多くの自画像を残しました。自画像を含むシーレの人物像の多くは激しくデフォルメされ、身をよじり、内面の苦悩や欲望をむき出しにしていいます。自慰にふける自画像、陰部をあからさまに露出した女性像などの大胆な表現は21 世紀の今日の鑑賞者にも驚きを与えます。確かなデッサン力に裏付けられたシーレの作品の価値が国際的に評価されるようになるのは、20世紀後半になってからででした。

 その自画像はデッサンを含めて一つとして似たものはないのにも関わらず、そこにはどう見てもアンドロギュヌス(男性と女性の 2つの性をそなえた存在)がいっぱい現れています。そのアンドロギュヌスは当然に男であって女であるけれど、それとともに神であって人であり、少年と少女であり、男娼と娼婦であって、また着衣であって裸体の、性交と自慰の、二重化されつづけるアンドロギュヌスだったのでしょう。観ていて男女の交わり、関わりが、とても美しいのです。

細い線のデッサン画にまず心を惹かれました。そして少し暗い色使いも塗り方一つとっても、
もうお気に入りです。でも28歳でスペイン風邪で亡くなりました。これほどの多数の絵を残してくれたことに感謝です。いつか、彼についての本も読んでみたい、そんな作家でした。

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

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投稿: Lou | 2015年2月15日 (日) 02時49分

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投稿: シャネル トートバッグ | 2013年12月12日 (木) 13時40分

しのぶさん、こんばんわ。
お忙しいところ、ありがとうございます。
どうです?結構エロいでしょ?クリムトより、私は凄いと思います。本当に筆のタッチは鋭いですよね。こんなタッチで描かれると想像力が増しますか?これにヒップホップとかハードスタイルの音楽を聴くともう、妄想の世界ですよ(笑)。
イギリスはダメでしたが。。。やっぱりって感じです(爆)。

創作、頑張ってくださいね。
ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年5月12日 (水) 18時24分

 こんにちは。

 エロスと聞いたら黙っていられません!(エロ女と呼ばないで! 爆)
 いやもう、最近どっぷりアダルト作品に漬かっているので、ある意味ではマイブームな記事です。(笑)

 アダルト作品の研究をしているので、世界各国のアダルトを観ています。アメリカはもう、イメージ通りなわけで、日本のような官能的な展開を見せるのはフランス、イタリア。この記事のポイントでもあるドイツはどうかと言いますと、他のヨーロッパ諸国とはやはりちょっと違う毛色を見せます。アダルトな世界にも、ドイツらしさというのはしっかりあるのだなぁと、関心。
 
 この記事の動画、ものすごい力強い絵ばかりですね。けっこう細かい書き方なのに、強さがあるというのは素晴らしいの一言です。
 そしてわたくしの個人的な意見としましては「いやらしいからこそ美しい」というのがあります。
 
 芸術などさっぱりわからないわたくしですが、わたくし個人が魅せられる絵画というのは、必ず「下種な描写」があるものだったりします。

 あとはやっぱり、今回の絵もそうですが、「匂いそうな生々しさ」というのが伺えるところがとても好きです。「匂い」が想像できる絵が好きなわたくしでございました。(笑) 

 余談ですが、イギリスのアダルトは下品過ぎて嫌いでした。(なにがジェントルマンだ! 爆)

投稿: 酒井しのぶ | 2010年5月12日 (水) 13時25分

茶々君のご主人様、こんばんわ。
私はとぎれとぎれにしか訪問出来ないのにいつも守ってくださってありがとうございます。ご主人様も結婚するまでは、いろいろあったのですね。今のご主人様とはかなり違ってとんがっていたのでしょうか。内に秘める思いがほとばしっていたのかもしれませんね。この画家も内に秘めた思いを描き殴ったのでしょう。細い線1本、1本がまるで血管でもあるかのようなデッサンには心を動かされます。
 私も日々幸せに暮らしているので、この衝撃は参りました。
でも感謝して生きなければいけないですよね。 本当にありがとうございました。
 

投稿: とこ | 2010年5月 9日 (日) 20時54分

多分、おりえさん、こんばんわ。いつもありがとうございます。
この絵は私も人から教えられて観るとうになりました。
 確かにグロい作品もありますが、線の細さはジャンセンばりで、おりえさんなら好きかも、なんて思ったりして。。。
>デフォルメされた絵はアンバランスな妙技というのでしょうか、絶妙なバランスで芸術になっているなと思いました。
 いいとこつきますねえ、ホントにそうですね。危なっかしさのなかで生きているまるで人生みたいに。
>自分の内部を絵に反映するタイプは長生きされる方は多くないのかなと思いました。
 今迄観いてきた破滅型天才でもあったのかもしれませんね。素敵なご意見、ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年5月 9日 (日) 20時37分

KOZOUさん、こんばんわ。いつもありがとうございます。
この画家じは実は受け売りで、クリムトの影になっていましたが、とんでもない、調べて絵を観て驚きました。久々にビビッときました。確かに心を騒がし、ちょっといらだたせるような作風ですがモデルたちの目が皆厳しいんですよ、それを逃さなかった彼はデッサン力と共に素晴らしいと思いました。
 あの若さで亡くなったことはKOZOUさんのいうようによかったのかもしれません、惜しい人物ですけれど。
でも」違う国に生まれ、違う時代に生きていたら今ある絵は存在しなかったでしょうね。
 私も天才は本当にある、直感で凡俗を超えると心から思います。
 ありがとうございました。

投稿: とこ | 2010年5月 9日 (日) 20時22分

スペイン風邪で多くの人が感染したとは
知っていましたが、確かにこのような若い才能ある人にも
容赦なく蔓延していたんですね。
昨年発表された新型インフルエンザが大きな
影響にならずに済んだことは、とってもよかったことを
あらためて感謝します。

自分をすべてさらけ出す表現ってすさまじい
なにかが内在するのでしょうね。私の思春期も
いつでも死ねるとふっきるまでは、
自殺願望をもって生活して頃出会っていたら
なにか説明できたような画家ですね。

それから、就職、結婚・・・・・34年の会社生活
といろいろありましたが、今は、すっかり精神的に
もすっかり落ち着いたことに感謝の毎日です。

ひさしぶりに、色々と
考えさせられる絵をたっぷり観れたこと
感謝です! ありがとうございます。

投稿: 茶々 | 2010年5月 9日 (日) 18時38分

 とこさん、こんばんは!!!
エゴン・シーレさんのお名前はこちらの記事で初めて知りました。
 ただ以前どこかでこの方の多分自画像を見た事があり、誰が描いたのかは知らなかったものの心に残る作品でした。
 今回の記事のお陰で名前を知る事が出来ました。ありがとうございます。
 彼の絵の幾つかはグロい感じがしますがそれでいて目を背けたくなるものではなく何故か見入ってしまいます。
 デフォルメされた絵はアンバランスな妙技というのでしょうか、絶妙なバランスで芸術になっているなと思いました。
 クリムトの絵より好きですね。
 ただ随分若くして亡くなっているんですね。これは私の勝手な感覚ですが自分の内部を絵に反映するタイプは長生きされる方は多くないのかなと思いました。
 

 

投稿: | 2010年5月 9日 (日) 18時19分

こんばんわ。
いい天気でちょっと暑いほどです。北海道は桜が今きれいなのでしょうね。

エゴン・シーレ、音楽と共に堪能させていただきました。
ごく一部しか知らなかったのですが本当にあの時代に驚きますね。
ゲルマン人、突き詰める怖さを感じます。
当時としてはまったく画期的な作品なのでしょうね。
心を騒がし、ちょっといらだたせるような作風ですが、確かに書かれていますようにデッサンは力強いですね。
世紀末のウイーン、ナチスが登場するまでのドイツ圏は今思っても奇蹟のような奔放さがあふれているようですね。
スペイン風で死んだとは知りませんでした。
それがよかったかもですね。
ナチスの時代は退廃の極として弾圧されたでしょうから。
人間にこだわり絵は本当に訴求力があると思います。
まさに彼が言ったように『ぼくは思う。"現代的な"芸術などありはしない。在るのはただ一つの芸術、永遠に続く芸術だけである』なのでしょうね。
天才は本当にある、直感で凡俗を超えると心から思います。

おかしなのも来ないようだしコメント承認制外しました。ご迷惑をかけました。

投稿: KOZOU | 2010年5月 9日 (日) 17時35分

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